邦画の演技をおかしくしている原因としてかなり大きい部分を占めているのが「セリフの順番待ち」問題だと思う。
役者は台本通りに読むことを期待されているのか、必ず誰かが話し終わるのを待ってから次のセリフをしゃべるようになっている。

そしてセリフを読んでいないときはわき役からエキストラに至るまで一人残らず直立したまましゃべっている人の方を直視して
会話に集中し、律儀に聞き入っている。聞き取れずに一度聞き返したり 、相手の言っていることがすぐに理解できずに間が空いたり 、
話している途中で別のところに気が移ったり、相手の話が耳に入らなくなったりということは一切ない。
会話は緩急がなく台本通り初めから一直線にきれいに流れていく。

順番通りよどみなく流れていく会話と直立不動の人物たちのせいで私たちはただ脚本の朗読を聞かされているかのような気にさせられる。

そしてセリフの間の変な間。

邦画の演技は、先進国のなかでもっとも不毛。前の世代の演技を見て、それを真似しているからだと思われる。
よく見ているとわかるが、日本の役者はセリフを言うとき、必ず間に息を吐き出す。
そんなこと、誰も普段の生活ではしないでしょ?
おかしいんだけど、みんなやるんだよ。なぜやるかと言えば、ほかの役者のそうした演技を見ているから。