https://mainichi.jp/articles/20211221/k00/00m/040/157000c
毎日新聞 2021/12/21 17:50(最終更新 12/21 17:50) 781文字
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2020/11/25/20201125k0000m040249000p/9.jpg
京都地裁、京都簡裁が入る庁舎=村田拓也撮影
動画投稿サイト「ユーチューブ」で、著作権侵害の通知制度を乱用されて投稿動画を不当に削除されたなどとして、富山県の40代女性が京都市の40代女性ら2人に慰謝料など約119万円を求めた訴訟の判決で、京都地裁は21日、慰謝料と広告収入への損害など計約7万円の支払いを命じた。
長谷部幸弥裁判長は「動画の投稿や、動画を通じた利用者との関係で生じる人格的利益が享受できなくなり、精神的苦痛を受けた」として慰謝料を5万円と認定した。原告側によると、ユーチューブへの投稿で人格的な利益が得られるとした判決は全国初という。
原告、被告とも編み物の動画を投稿するユーチューバーで、原告のアカウントには約2万人、被告には約4万1600人が登録。それぞれ、ポーチやバッグなどを編む手元の様子や完成作品を紹介している。
判決によると、原告が投稿した「かぎ針編み」の動画2本について2020年2月、被告が「著作権を侵害された」とユーチューブに通知。ユーチューブは通知を受けて原告の動画を削除したが、同8月に「通知の法的要件が欠けていた」として動画を復元した。
長谷部裁判長は、両者の動画を比較し「編み方の説明や表現方法が類似しているとはいえず、著作権を侵害するものではない」と判断。被告による通知を「著作権の侵害になるという独自の見解に基づいていた」として重過失を認めた。さらに、通知を受けて3回警告された投稿者はアカウントが停止され、動画が全て削除されることもあるため、「投稿者が精神的苦痛を受け、損害を被ることはあり得る」とした。
原告側の加藤幸英弁護士(愛知県弁護士会)によると、米国では同様の虚偽通知が問題になっているといい、今回の判決について「安易な通報の歯止めになる」と評価した。一方、被告側の代理人弁護士は「判決文を見ていないのでコメントできない」としている。【添島香苗】
毎日新聞 2021/12/21 17:50(最終更新 12/21 17:50) 781文字
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京都地裁、京都簡裁が入る庁舎=村田拓也撮影
動画投稿サイト「ユーチューブ」で、著作権侵害の通知制度を乱用されて投稿動画を不当に削除されたなどとして、富山県の40代女性が京都市の40代女性ら2人に慰謝料など約119万円を求めた訴訟の判決で、京都地裁は21日、慰謝料と広告収入への損害など計約7万円の支払いを命じた。
長谷部幸弥裁判長は「動画の投稿や、動画を通じた利用者との関係で生じる人格的利益が享受できなくなり、精神的苦痛を受けた」として慰謝料を5万円と認定した。原告側によると、ユーチューブへの投稿で人格的な利益が得られるとした判決は全国初という。
原告、被告とも編み物の動画を投稿するユーチューバーで、原告のアカウントには約2万人、被告には約4万1600人が登録。それぞれ、ポーチやバッグなどを編む手元の様子や完成作品を紹介している。
判決によると、原告が投稿した「かぎ針編み」の動画2本について2020年2月、被告が「著作権を侵害された」とユーチューブに通知。ユーチューブは通知を受けて原告の動画を削除したが、同8月に「通知の法的要件が欠けていた」として動画を復元した。
長谷部裁判長は、両者の動画を比較し「編み方の説明や表現方法が類似しているとはいえず、著作権を侵害するものではない」と判断。被告による通知を「著作権の侵害になるという独自の見解に基づいていた」として重過失を認めた。さらに、通知を受けて3回警告された投稿者はアカウントが停止され、動画が全て削除されることもあるため、「投稿者が精神的苦痛を受け、損害を被ることはあり得る」とした。
原告側の加藤幸英弁護士(愛知県弁護士会)によると、米国では同様の虚偽通知が問題になっているといい、今回の判決について「安易な通報の歯止めになる」と評価した。一方、被告側の代理人弁護士は「判決文を見ていないのでコメントできない」としている。【添島香苗】