判決によると、女性は2018年5月、男性神父から性被害を受けPTSDを発症。19年8月に大司教区と示談した。だが、見三明大司教はその後の内部会議で、女性について「『被害者』と言えば加害が成立したとの誤解を招くので、『被害を受けたと思っている人』など、別の表現が望ましい」と発言。議事録は神父らに配布された。
古川裁判長は、大司教区には性被害自体が存在しなかったなどと誤解を与えないよう行動する注意義務があったと指摘。その上で、見氏の発言は「性被害自体が存在しなかった、またはその可能性がある旨の言動」と認めた。「知人記者の発言を引用したにとどまる」という大司教区の主張は「単なる紹介・引用とはいえない」として退けた。
また、議事録は信徒が目を通すことができ、発言は神父や信徒らに相当な影響を与えると判断。女性が受けた二次被害による精神的苦痛は多大だったとして大司教区に賠償を命じた。
判決後、女性の代理人弁護士が長崎市内で会見。「私の思いが法により理解され安堵(あんど)した。聖職者であっても社会で生活するひとりの人間。(大司教区には)逸脱した言動や隠蔽(いんぺい)体質を見直してほしい」と女性のコメントを紹介した。
大司教区は取材に「大変お騒がせしている。判決文の内容を精査し、今後の対応を誠実に検討する」としている。
長崎新聞 2022/2/23 10:50 (JST)2/23 10:55 (JST)updated
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