0001蚤の市 ★ [AR]
2022/03/18(金) 13:15:59.87ID:BdJWPzEK9一人暮らしをしていた主人公がある秘密を抱えて、実家に帰ってくる。実家では、兄が親の後を継ぎ、小さな酒店を営んでいる。昔のままの懐かしさの中、過ぎ去った時間とともに確実に変わってしまったものが、ここにはあった…。
舞台やCMで活躍する、俳優の白磯大知さん（26）＝練馬区＝の初監督作品。きっかけは4年前の夏、幼い頃に父とよく行った実家の近所の酒店が閉店したことだ。「変わりゆく街並みから消えてしまう懐かしい場所を映画に残したくなった」。書き始めた脚本は秋に完成、撮影に協力してくれる酒店を探した。
首都圏の酒店20?30軒を回ったが、いい返事がもらえない。リーズナブルな酒場が集まり「のんべえの聖地」といわれる赤羽で交渉が失敗した帰り道、偶然見つけたのが駅から歩いて10分の住宅街にある中村屋酒店だった。60年前に建てられた店は、年季の入った看板やひさしがある。「イメージにぴったり」と飛び込みで頼むと、店主の中村光雄さんは撮影を快諾してくれた。
2019年1月に撮影を始めた。建物はそのまま、配達用のバイクや衣装の前掛けは店のものを借りた。白磯さんは「セットでは出せない味わいが出せた」。映画のタイトルは、店名に合わせた。「店の歴史、雰囲気をそのまま残したかった」からだ。
翌月、映画が完成した。第30回東京学生映画祭でグランプリに輝いたほか、インディーズ作品の祭典として知られる第13回田辺・弁慶映画祭（和歌山県田辺市）のTBSラジオ賞、第11回下北沢映画祭（世田谷区）の観客賞などを受賞した。
中村屋酒店は、20年3月に閉店した。建物が解体された跡地には住宅が立ち面影をしのぶものはない。白磯さんは「当たり前にあった風景は、失ってから大切さに気付く。映画が、地元の懐かしい場所に足を運ぶきっかけになればうれしい」と話す。
映画は55分。18日から、北海道から大分県まで全国18館で公開される。劇場情報は映画の公式サイトで。
東京新聞 2022年3月18日 11時51分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/166374
