外務省の船越健裕アジア大洋州局長は26日、訪日中の李相烈(イ・サンヨル)・韓国外務省アジア太平洋局長と外務省で約1時間45分協議した。日本企業に賠償を命じる判決が確定した元徴用工訴訟について議論し、船越氏は韓国側に責任を持って対応するよう改めて求めた。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が17日の記者会見で検討していると明かした解決策についても意見交換したとみられる。

 協議は、8月上旬に元徴用工問題などの解決に向けた協議を加速化することで一致した日韓外相会談のフォローアップとして開催。李氏は、元徴用工訴訟の解決策を模索する官民協議会での議論の進捗(しんちょく)状況や政府の検討状況などを説明した。これに対し、船越氏は、日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本側の一貫した立場に基づく責任ある対応を韓国側に要求。両氏は、今後も解決に向け、意思疎通を継続していくことで一致した。

 元徴用工訴訟を巡っては、2018年に韓国最高裁(大法院)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた判決を確定させた。日本政府は「元徴用工を含む請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済み」との立場で、日本企業側も賠償に応じない方針。このため、日本企業が韓国国内に所有する資産を売却して原告への賠償に充てる「現金化」の手続きが進んでおり、実際に現金化された場合は、日本政府が対抗措置をとる可能性がある。

 今月19日には大法院が、日本企業側が売却命令を不服として行った再抗告についての決定を下すとみられていたが、先送りになった。韓国メディアは「8月中には決定が出る見通し」とも伝えている。【日下部元美】

2022/8/26 19:26(最終更新 8/26 19:27)
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