【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮で日朝交渉を担当する宋日昊(ソン・イルホ)大使は、2002年に両国が国交正常化を目指すことをうたった「日朝平壌宣言」について、日本が対北制裁などで「宣言を白紙の状態にし、両国関係を最悪の対決局面に追い込んだ」と批判する談話を発表した。朝鮮中央通信が16日に報じた。

当時の小泉純一郎首相と金正日(キム・ジョンイル)総書記が平壌での初の日朝首脳会談で宣言に署名してから17日で20年となる。会談で金氏は日本人拉致を認めて謝罪した。

宋氏は談話で、拉致問題は「全て解決された」と従来の立場を繰り返した上で、日本政府が問題を蒸し返して反北朝鮮の雰囲気をあおっていると非難した。

日朝関係の今後の行方は「全面的に日本政府の態度いかんにかかっている」とも主張し、日朝交渉がその後停滞した責任を一方的に日本側に転嫁した。

宋氏は、宣言後も関係改善に向けて日本側と協議を重ねるなど、北朝鮮側が「たゆみない努力を傾けた」と自己正当化し、それに対して「日本は宣言を『拉致・核・ミサイル問題解決』のためのものと歪曲(わいきょく)し、自分らの不純な政治目的の実現に悪用した」と批判した。

産経新聞 2022/9/16 10:14
https://www.sankei.com/article/20220916-6KUVBDTABFL3DMSY2UUQUJ3VVQ/