【ニューヨーク=秋山裕之】訪米中の岸田文雄首相は21日午後(日本時間22日未明)、訪問先のニューヨークで韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と初めて30分間ほど懇談した。日韓の首脳が対面で一定の時間をかけて協議するのは両国とも現政権になる前の2019年12月以来、2年9カ月ぶりとなる。

日本政府は「会談」ではなく「懇談」と説明した。日本側の発表によると、両首脳は元徴用工問題などを念頭に懸案を解決し、日韓関係を健全に戻す必要性を共有した。1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力の基盤に基づいて関係を未来志向で発展させることで一致した。

北朝鮮の核開発などの環境を踏まえ、重要な隣国として日韓2国間や米国を交えて3カ国での協力を推進する重要性を確認した。北朝鮮への対応で連携し、首脳間でも意思疎通を継続すると申し合わせた。

尹氏は北朝鮮による拉致問題について日本の取り組みに支持を表明した。

岸田氏と尹氏は6月にスペインで同じ晩さん会に出た後、短時間会話した。バイデン米大統領を含めた日米韓3カ国の枠組みで会談したこともあるが、2国間の本格的な首脳会談はまだしていなかった。

日本は元徴用工問題を巡り韓国で差し押さえられた日本企業の資産の現金化を回避する具体策を求めている。韓国大統領府が9月15日、ニューヨークで日韓首脳会談を調整していると発表し、日本側が「現時点で何ら決まっていない」と説明した経緯がある。

日本経済新聞 2022年9月22日 3:19 (2022年9月22日 5:06更新)
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