ロシアによるウクライナ侵攻後、北朝鮮がロシアに急接近している。北朝鮮は米国をけん制する「外交カード」に利用するだけでなく、ロシアが実効支配するウクライナの一部地域に労働力を派遣し、外貨を獲得しようという思惑もうかがえる。北朝鮮は、ロシアによるウクライナ支配の一翼を担っていくのか――。【ソウル渋江千春】

東部2州の独立承認の背景は
 北朝鮮は核・ミサイル開発を進めた代償として、厳しい国連安保理の制裁を科されている。新型コロナウイルスの流行に伴う国境封鎖で貿易も激減し、八方塞がりの状態だったところに、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた。

 北朝鮮外務省の報道官は侵攻直後の2月28日、ロシアの主張を「合理的で正当な要求」と評価。「米国と西側諸国が北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を推し進めて、欧州の安保環境を破壊した」と述べ、原因を作ったのは米国や西側諸国だと強く批判してロシアの肩を持った。

 3月の国連総会でロシアへの非難決議が採択された際にも北朝鮮は、ベラルーシ、シリア、エリトリアとともに反対した。この時点では米国と対立を深める「同志」として連帯を示したレベルにとどまっていた模様だ。

 一気に関係が深まったのは、7月だ。北朝鮮はウクライナ東部ドンバス地域のルガンスク州とドネツク州の一部を実効支配する親露派武装勢力「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」の独立を承認したのだ。旧ソ連時代に交流があったこの地域へ…(以下有料版で、残り1092文字)

毎日新聞 2022/9/28 05:00
https://mainichi.jp/articles/20220927/k00/00m/030/129000c