北朝鮮による弾道ミサイル発射は安保理決議に違反している。日本の石兼公博国連大使は今回の発射について「(18日の)ICBMは北海道からわずか200キロメートルの排他的経済水域(EEZ)内に落下し、その様子を一般の日本国民が目撃できるほどの近さだった」と批判した。
安保理は北朝鮮のミサイル発射を受けて何度も会合を開いているが、一致した対応をとれていない。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「(制裁を強化する決議を採択した)2017年のように安保理は一つの声で北朝鮮による挑発を非難すべきだ」と強調した。
度重なるミサイル発射について、フランスのドリビエール国連大使は「北朝鮮は安保理の分断を利用して挑発を続けられている。行動をとらなければ、朝鮮半島の安定を脅かすことになる」と述べた。北朝鮮の核開発については「北朝鮮が核保有国になることを安保理は許してしまってよいのか」と訴えた。
安保理内の分断が解消する兆しは見えない。ロシアのポリャンスキー次席国連大使は「一部の理事国は北朝鮮を批判するだけで、建設的な対話の準備ができていない」と批判した。同時にロシアと中国が提案している制裁緩和の決議案を支持すべきだと訴えた。中国の代表は「一部の理事国は北朝鮮に対する制裁や圧力強化を呼びかけているが、状況の緩和や解決にはつながらない」と批判した。米国とその同盟国による合同軍事演習が北朝鮮を刺激していると指摘した。
声明が採択できないなか、緊急会合後には日本や米英仏などの理事国10カ国に加えて、安保理外の韓国が共同で声明を発表した。「今回のミサイル発射は無謀であり、危険だったと同時に複数の安保理決議に違反した」と強く非難した。
日本経済新聞 2023年2月21日 8:00 (2023年2月21日 8:04更新)
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