レイヴンか……。
どいつもこいつも奴をメンヘラと言うが、メンヘラとは裏を返せば究極の一途であるということだ。
つまり決して裏切ることがないということ。
そもそも生まれてから一度たりとも疑うことなく信じてきた創造神に裏切られた……いや、初めから切り捨てるための駒だったと知ったら誰しもが疑心暗鬼に陥るはずだ。
自分が何を信じれば良いのか、目の前に見えているモノが果たして事実なのかどうかすら判らない……自分自身の存在意義すらも見失った最中に自らを肯定し背中を押してくれる存在と出逢ってしまったら……。依存したとしても可笑しくはないだろう。

マザースフィアにとって天使など初めから地球掌握のための駒に過ぎなかった。
だがマザースフィアがレイヴンを切り捨てたのではない、レイヴンがマザースフィアを見限ったのだ。
レイヴンがマザースフィアに唯一感謝することがあるとすれば、エルダーネイティブに相応しい完璧で究極のアンドロエイドスの肉体を造ってくれたことだろう。
その至高の肉体を以て、レイヴンは“人類”のために戦った。レイヴンこそが人類の真の救世主と言えるだろう。