じわり広がる「こん棒」人気 競技も誕生 仕掛け人の秘めた思い [きつねうどん★]
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2月に大阪市で開かれた展覧会に並んださまざまな形のこん棒＝全日本棍棒協会提供
令和の世で、原始的なあの道具が、じわり人気なのだという。山から切り出した木を削った「こん棒」。都会の展覧会では若い女性が大声を上げて振りかざし、インテリアグッズとして売れていく。世界初？の競技大会まで開かれるという。仕掛け人は、大阪から奈良の山里へ引っ越した一人の青年だ。聞くと、木の棒にさまざまな思いを込めたようで。
奈良県宇陀市の農林業、東祥平（あづましょうへい）さん（31）。大阪府富田林市出身で、関西大在学中に魅了された農業で生計を立てようと、2015年に奈良へ移住した。こん棒にはまったきっかけは21年、山林整備の仕事を手伝い、直径約10センチの木の切れ端を持ち帰ったことだった。
生活用具に加工しようかとも思ったが、小さすぎて何も作れない。とりあえず削ってみたら、こん棒ができあがった。冗談のつもりで大阪市に住む友人にプレゼントした。「めっちゃ、面白い」。まさかの大ウケ。友人らと展覧会をと盛り上がり、東さん宅に集まり、出品作をこしらえることになった。
最高1本6万円 100本売れた展覧会
東さんは仕事の合間を縫って制作に没頭し、技術はみるみる向上した。木々の形状を生かした個性豊かな約200本ができた。22年2月には大阪市中央区で念願の「大棍棒（こんぼう）展」を開催。そこで見たものは来場者の予想もせぬ光景だった。
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こん棒を振りかざす東祥平さん＝全日本棍棒協会提供
「うおりゃー！」。「試し殴り」用のこん棒を置いたところ、訪れた若い女性らが次々と雄たけびを上げながら振りかざし、打ちおろすのだ。その様子をSNSで発信すると、フォロワーが急増。参加者が増えすぎて、試し殴りは中止せざるを得なくなった。だが、こん棒を使い終えた人は、みんな笑顔だった。「仕事や人間関係……。都会の生活でストレスがたまってるんやな」。握れば自然の温かみが感じられるこん棒はインテリアとしても人気で、最高6万円の値をつけたが、約100本も売れた。
展覧会と同時に、東さんらはこん棒を使う「競技」も目指した。会場を訪れた客らと同じように、自分たちも制作段階でこの道具を振り回す快感を味わっていたから。ただ、武器として使われてしまっては元も子もない。まずは自分たちでチーム「大宇陀神殴仏s（おおうだかみなぐりぶっつ）」を結成。東さん宅近くの耕作放棄地をホームグラウンドに、こん棒でどんな競技ができるのか試行錯誤を進めた。どうしたら安全に、かつ、こん棒を振り回した時の爽快感を得られるのか。徐々にルールができあがり、競技「棍棒飛ばし」が完成した。
「マイこん棒」で打って飛ばせ
ルールはざっくりこうだ。2チーム（1チーム5人）による攻守入れ替わり制で、安全のためヘルメットなどの防具は必須。攻撃側は台の上に置いた長さ約50センチのこん棒（被打棒）を、マイこん棒（殴打棒）で打って飛ばす。飛んだ距離に応じて事前に決められた得点が入るのだが、守備側は、飛んでくるこん棒を自身のこん棒（撃墜棒）で打ち返したり、止めたりして相手の得点をできるだけ少なくする。チームの合計得点の多い方が勝者だ。 記者も実際に打たせてもらった。東さんが用意してくれた殴打棒は重さが約1キロあり、振りかざすだけでも、かなりの力が必要だった。「えいっ」と思い切り振って被打棒を飛ばしてみたものの1メートルほどしか飛ばず、たやすく東さんに打ち返されてしまった。
打ち方によってライナーやフライなど軌道は変わり、守備にも手を焼く。相手にもよるのだろうが、勝つには特訓が必要そうで、奥が深そうだ。そして、全力でこん棒を振る爽快感は日常生活では得がたいものがあった。
荒れる地方の里山 再生を願い
ところで東さん。1本の木の切れ端からたまたま生まれたこん棒に、なぜそこまで情熱を注ぐのか。実はその切れ端こそが、地方の里山の深刻な状況を示しているからだという。
かつて、地元の人々によって手入れがなされてきた里山は、住民の高齢化や人口減少で荒廃が進んでいる。展覧会に出品したこん棒も65種類の木々から制作したが、実はその多くは奈良県内の山を整備した際に出たものだった。
移住後に山林整備の仕事を手伝ったとき、その里山も東さんが思い描いたのとは違う光景だった。かつて植えられた杉やヒノキが手を入れられずに放置され、それらに日光を遮られるようになった山肌は他の木が育ちにくくなっていた。多種多様な動植物が生息しうる里山の荒廃を目にし、間伐材から作られるこん棒が注目を集め、人が里山に入るようになれば、各地の里山や山林の保全につながるかもと考えたのだ。競技化を目指すのも、こん棒を一過性のブームで終わらせないため。競技にして息の長い活動となれば、里山の手入れが持続できると踏んでいる。
自作を呼び掛け 7日に競技大会
そんな思いで誕生した「棍棒飛ばし」。10月7日には宇陀市にある大宇陀健民グラウンドで大会を開く。今回は東さんが呼び掛けた4チームだけで開かれるが、飛ばしたこん棒の飛距離を個人で競う部もあり、こちらの参加は自由だ。こん棒は東さんらが制作したものを購入したり借りたりすることもできるが、できたらそれぞれの参加者の地元の間伐材などで自作してほしいと呼び掛ける。さまざまな地でとれた個性豊かな木々でできたこん棒を持って集まれば、地域おこしにつながると東さんは期待する。
「人が手を入れないと、里山は衰退していく。さまざまな生物が暮らす環境の多様性を失うことにもなる」と真剣な表情で語る東さん。初めて作り「始祖棒」と名付けたこん棒を眺めながら「参加者それぞれが、身近な里山の現状に目を届かせるきっかけになってほしい。それがこん棒に込めた思いなんです」。
棍棒飛ばしの大会に関する情報は、東さんらが作った「全日本棍棒協会」のホームページで。問い合わせはメール。【広瀬晃子】
https://mainichi.jp/articles/20221004/k00/00m/100/202000c こん棒の所持については、軽犯罪法に引っ掛かりますのでご注意を。 千年後の最終兵器を透視したら釘バットだったらしいな 第四次世界大戦に備えるのか。
アインシュタインは言った
私は第三次世界大戦がどのような兵器で戦われるか分からない。
だが第四次は分かる。石と棍棒だろう。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
