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オッサンタイガーは、対戦相手の腕を固める（提供・新根室プロレス）
　
日本最北のアマチュアプロレス団体、新根室プロレスが6月、再始動する。

2020年に逝去した元代表のサムソン宮本さん（享年55）の遺志を継ぎ、弟のオッサンタイガーこと宮本賢司氏（49）と、エースのTOMOYA（25）らがリング再興を決断。19年12月末の活動停止から約3年半ぶりに、本拠地・根室に近く、翌日の仕事に支障のない道東の会場（予定）で、単独興業を再開する。

「無理しない・けがしない・明日も仕事」。本業を持ちながら、本気でプロレスを楽しむ。一方で体長約3メートルの巨大レスラー、アンドレザ・ジャイアントパンダを全国区まで押し上げた伝説的な団体が、約3年半ぶりに復活する。道路工事などの現場で働くエースのTOMOYAは「新根室プロレスがあったから、今の僕がある。これからは自分が引っ張り、団体に恩返しします」と力強く語った。

昨年11月、東京で開催された「サムソン宮本三回忌メモリアル大会」が、リスタートの引き金となった。06年の旗揚げから代表を務めたサムソン宮本さんは、難病の平滑筋肉腫を罹患（りかん）。腸と肺の一部を切除し、生への執念を見せながら、20年に力尽きた。生前の19年末に、夢でもあった東京大会を実現、同時に団体の解散を宣言したが、死後にも「東京と根室で興行を行ってほしい」との言葉を残していた。

メンバーは遺言に従い、逝去の1年後に根室で一周忌イベントを開催。昨年は三回忌として東京興行を行い、約250人の観客を集めた。試合終了後、会場のスクリーンに映し出されたのは、息を引き取る2週間前に撮影されたサムソン宮本さんの姿だった。「新根室プロレス、お前に任せたぞ」と、マスク姿で言い放つ代表に向け、託されたTOMOYAは嗚咽しながら「引き継ぎます」と誓った。

今春、選手たちはトレーニングを再開。介護士、飲食店勤務などの本業が終わった後、体作りに取り組む。すでに道東の市町村から複数のオファーが届いており、6月から1カ月に1回ほどのペースで興行が開催される。サムソン宮本さんの実弟で、ともに玩具店を経営していた賢司本部長は「兄が亡くなり、心にポッカリと穴が空いた状態でした。それは『プロレスがなくなったから』と気付かされた」と、再開を待ちわびる。

空白期間も大仁田厚（65＝FMWE）に2連勝するなど、全国で新根室の火を灯し続けたアンドレザ・ジャイアントパンダは「ずいぶん長く冬眠している妻（ティンティン）と息子（ラジャ・パンダ）を、そろそろ起こさないと」と話しているという。2カ月後にいよいよ、再始動のゴングが鳴り響く。【中島洋尚】

◆新根室プロレス　根室を拠点とするアマチュアプロレス団体。97年に根室プロレス愛好会として発足も、解散をかけた他団体との対抗戦に敗れ、05年に一時消滅。翌年にネットオークションで100万円のリングを購入し、新根室プロレスとして再結集した。モットーは「無理しない・ケガしない・明日も仕事」。復帰が予想されるメンバーは、アンドレザ・ジャイアントパンダ、ティンティン、ラジャ・パンダ、TOMOYA、オッサンタイガー、キラー飯、ブラッド・オコーナー、マイマッハ隼人、ねね様、越中スシロー、ドンレオ・嬢サン、ハルク豊満、下着三四郎ら。スタッフ含め総勢19人。

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