被害者からのメッセージに耳を傾けています
「性的虐待疑惑」が大きく世の中を騒がせています。被害を受けたという証言者が勇気ある行動を起こしたため、大手メディアもようやく重い腰を上げ、表面化されてきています。
実は先日、私にも虐待問題が起きたので、ここで勇気を持って証言します。「性的虐待」ではありません。お酒をしこたま飲んで足元がおぼつかなくてトイレで思いっきり転倒し、便器に脇腹をぶつけてアバラ骨２本を骨折したという、言ってみれば「自虐待」なのです。
まあ、私の欲望のために陥った自業自得の虐待であり、文句は言えませんが、被害者である私の身体から証言が出てきます。
「あなたが気持ち良くなるために酔って転んで骨を折られる被害者の気持ちを考えてほしい」
被害者である身体からのメッセージです。これに対して私は本当に心より深く反省するしかありません。
なおも身体が私に訴えかけてきます。
「アバラの骨折は時間がたつことでしか快方に向かわない。あなたが身体を動かしたりすると激痛が走るから、動くな！ 笑うな！ くしゃみするな！ せきをするな！ しゃっくりをするな！ 寝返りをうつな！ 風呂であったまるな！ 痛み止め薬を服用せよ！ 患部に鎮痛消炎効果があるテープを貼れ！ 暑くなってきて蒸れると思うがコルセットを巻け！ 転んで骨折するまで酒を飲むな！ あなたの欲望への行為でこちらに迷惑をかけたことを反省してください！」
加害者の私は、返す言葉がありません。
私が骨折をした１週間前、ＴＢＳラジオ「ラジオＴＯＫＹＯえんがわ」でご一緒している外山惠理さんが階段から転落し頭を打ち、縫合するケガをしました。１つの番組の出演者が２週連続でケガをするという事態。外山さんも災難でしたが、こちらも「自虐待」です。
外山さんも私の身体が発したようなメッセージを受けたのか？ 外山さんは、カッとなる性質がありますので多分、私よりも被害者である身体から言われたに違いありません。
私は祈るのです。この世にあってはならない、さまざまな「虐待」のない日が来ることを。
■玉袋筋太郎（たまぶくろ・すじたろう） お笑い芸人。１９６７年６月２２日生まれ。東京都新宿区出身。８６年にビートたけしに弟子入り。ＴＢＳラジオ「えんがわ」（金曜）、ＴＯＫＹＯ ＭＸ「バラいろダンディ」（金曜）にレギュラー出演中。２０１３年から一般社団法人全日本スナック連盟会長。著書に「スナックあるある この素晴らしき魑魅魍魎の世界」（講談社）、「スナックの歩き方」（イースト新書）など。
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