――海外と日本の脚本では、セリフの使い方が違うということでしょうか?
■小栗

ニューヨークとかに行くと、路面店に古い脚本が売られてたりするんですよ。
自分が好きだった映画の脚本とかを買って読んだりするんですけど、多くの脚本が、状況とか役とか、
なぜその人がその行動をとったのかというト書きが書いてあり、そこで初めてセリフなんですよね。
キャラクター性や周りの反応、その瞬間の感じたことをちゃんとセリフ以外で書いてあって、積み上げた上で吐くべきセリフがあるんです。

■保坂
何かそれが結構、日本では「…」で省略されていますよね。

■小栗
「…」がないじゃないですか、海外の作品って。それはもう絶対ト書きになるし。
カッコで「キャラクターがこう思っている」って書いてあったりするから。
そうであっても、どう解釈してどんなリアクションを見せるかは、やっぱり演じる人間の判断になるし、
それを撮る人間の判断にもなるので、いろんな齟齬そごやズレは出てくると思いますが、ズレの幅は狭くなると思います。