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覇権

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2023/04/25(火) 09:12:20.35
☆☆ひげひめ専用☆☆☆
★★★スラダン婆出禁・スラダン話禁止★★★
★★★ヒロアカ婆出禁・ヒロアカ話禁止★★★
★★★ブルロ婆出禁・ブルロ話禁止★★★
★★★このスレからの転載・持ち出し・スレ貼り禁止★★★
ポケモン婆出禁・ポケモン話禁止;;
舞台・俳優婆出禁;;
政治・時事話出禁;;
夏婆禁止・閲覧禁止・認定禁止;;
他ジャンプ話題禁止;;
V・ソシャ話題禁止;;
虎受けは専スレ推奨;;→虎杖悠仁受けスレ
人気・モメサ分析・婆婆・焚かれてる関連の話禁止;;
アフィカス出禁;;アフィ持ち込み禁止;;
公民館公民館2出禁;;夏婆出禁;;
客の立てたスレは廃棄;;
声豚出禁;;声優焚き禁止;;
仲良く使って;;

Japanese Only.
2023/04/25(火) 09:13:12.06
五悠エターナル✨
2023/04/25(火) 09:13:13.58
側室バトル;;
2023/04/25(火) 09:14:03.97
秤ケン兄五みんな同じ体型;;書き分けできないげげ;;
2023/04/25(火) 09:14:05.32
五夏婆の私はまた次から燃料無くなるの分かってるから今だけ盛り上がるよ;;
2023/04/25(火) 09:15:05.57
>>4
同じ3Dモデル使ってるのかな;;
2023/04/25(火) 09:16:05.04
くこけ;;
2023/04/25(火) 09:16:47.87
クォ?
2023/04/25(火) 09:17:48.02
次のバレもどうせ予想外してくるよ;;
2023/04/25(火) 09:18:30.93
モブレベルの新キャラ生やしてくる;;
2023/04/25(火) 09:19:17.25
自分の青春ばっか優先して恥ずかしくないんですか?ってアンケに書いてきたよ;;
2023/04/25(火) 09:20:44.24
>>11
ますます自分の青春優先する五来るようなアンケ;;
2023/04/25(火) 09:21:51.94
五の肉オナホにされるためだけに生まれたイケメン新キャラはよ;;
2023/04/25(火) 09:23:29.32
夏の死体始末したいだけだから別に青春優先してないよね;;
2023/04/25(火) 09:24:30.46
すぐりゅの体から出てけーとかならまあワンチャン;;
2023/04/25(火) 09:25:04.75
客スレ
2023/04/25(火) 09:25:51.13
保守しとくね;;
2023/04/25(火) 09:26:04.43
😎✨
2023/04/25(火) 09:26:43.85
🎿三🎿
2023/04/25(火) 09:27:02.31
🎿三🎿三🎿
2023/04/25(火) 09:31:05.92
チェンソーバズってる;;
2023/04/25(火) 09:31:44.95
「俺は酒の悪魔だ、デビルハンターを呼んで来い!」なた振り回して大暴れ、26歳の男を銃刀法違反容疑で逮捕 札幌地下鉄 (HBCニュース北海道)
2023/04/25(火) 09:43:19.47
酒の悪魔って弱そう;;
2023/04/29(土) 21:15:36.61
ここまだ残ってたんだ;;
2023/05/01(月) 19:49:01.34
使ってないならここ保管用にさせてね;;
2023/05/01(月) 19:49:29.23
湘北組は神奈川の暴力団である;;
ミッチーはそこで組員でありつつも仕事はただ周りから可愛がられながら自由に過ごすことだけだったので影で呼ばれていたあだ名は湘北組の姫だった;;
しかしそんなミッチーに人生最大の危機が訪れる;;
2023/05/01(月) 19:49:49.10
東京で行われる組長会議の付き添いにミッチーが選ばれ組長のゴリに付いて行った時のことだった;;
日本最大の暴力団である秋田組組長はミッチーを一目見た途端ミッチーに目を奪われた;;
2023/05/01(月) 19:51:26.10
湘北組は激怒し血眼でミッチーを探し回ったがまだミッチーの居場所を突き止めることはできていなかった;;
その頃ミッチーはというと山王組の仮眠室に寝かされていた;;
「ん…ここは?」
ミッチーが目を覚まし辺りを見渡すと扉がガチャリと開きスーツを来た男が入ってきた;;
「起きたか」
男がミッチーに話しかける;;
ミッチーは警戒して男をにらみつけた;;
「そう怯えるな。もうすぐ組長が到着する」
2023/05/01(月) 19:52:31.02
すると遠くからコツコツと足音が近づいてくるのが聞こえた;;
男は扉の外に向かってお疲れ様ですと頭を下げる;;
中に入ってきたその男をみてミッチーは驚いた;;
三日前組長会議で見た山王組の組長だったからだ;;
「目が覚めたかピョン」
変わった語尾で喋るその男は冷たい表情でミッチーを見下ろした;;
ミッチーは一瞬で状況を悟った;;
湘北組と山王組の抗争に俺が人質として拉致されたんだ;;
そう考え表情を歪めた;;
2023/05/01(月) 19:53:39.44
「俺が人質になって組に迷惑をかけるなら自害でもなんでもしてやるよ」
ミッチーが挑発するようにそう言った;;
「…」
組長である深津は何も答えず胸ポケットからタバコを取り出し火をつけた;;
それを吸うと口を閉じミッチーの元へ歩み寄る;;
そして強引にミッチーの顎を掴み唇を合わせ煙を注ぎ込んだ;;
「ゲホッゴホッ」
突然のことにミッチーは目の前の男を突き飛ばし咳き込む;;
「なにすんだよ!」
涙目でミッチーは相手を睨んだ;;
2023/05/01(月) 19:55:06.14
「…お前をここに連れてきたのは人質にする為じゃないピョン」
「じゃあなんで」
「それはそのうち分かるピョン」
そう言い残し深津はその場を去っていった;;
「…はあ?」
ミッチーは状況を理解することが出来ず頭がクラクラした;;
これから自分は一体どうなってしまうのだろう;;
2023/05/01(月) 19:55:53.57
ミッチーはその後訳も分からないままスーツの男たちに連れ出され車に乗せられ気付いた時には大きな屋敷に着いていた;;
「ここは山王組の本家だ。お前はこれからここで住んでもらう」
突然とんでもないことを言われた気がするが今のミッチーには何も頭に入ってこなかった;;
あまりに色々なことが起きたため披露が限界に達したのかミッチーは用意されていた布団の上に倒れこみ目を閉じるとすぐに意識は暗闇へと落ちた;;
2023/05/01(月) 19:58:14.73
「ん…」
「起きたかピョン」
ミッチーが目を覚ますと目の前にあの男の顔があった;;
「うわあっ」
驚いて大声をあげると「お前は大げさだピョン」と深津が相変わらずの無表情で言った;;
「~っ!」
ミッチーは事務所で深津に突然されたことを思い出し真っ赤になって慌てて距離をとる;;
「なんでそんなに警戒してるピョン」
「するに決まってんだろ!」
ミッチーがそう答えると深津はよく分からないという顔をしながら「仕事が残ってるからまた出てくるピョン。ちゃんと飯食っておけピョン」とあっさり出て行った;;
なんなんだと思いながら入口に視線を向けるとそこには夕食が用意されている;;
わざわざ組長のあいつが持ってきたのだろうか;;
眉間にしわを寄せながら考えていると大きく腹の虫が鳴った;;
「…とりあえず飯食うか」
2023/05/01(月) 19:59:15.67
>>27
これの後飛ばしてた;;

それから三日後;;ミッチーは湘北組から突然姿を消した;;
2023/05/01(月) 20:00:52.14
「…美味かった」
ミッチーは食事を終え畳の上に仰向けに倒れた;;
短い間に色々なことがあって混乱していたが、温かい食事を取ったことでいくらか頭の中がすっきりしたようだった;;
「さて、これからどうすっかな」
今すぐ逃げるべきだろう;;だがここは山王組の本家だ;;
屋敷周りでは常にも構成員が見張っており脱出はかなり困難だと考えられる;;
しかしずっとここにいてはアイツに何をされるか分からない;;
少し仮眠を取ってから逃げるか…とお腹いっぱいになったミッチーはウトウトと目を閉じた;;
2023/05/01(月) 20:03:30.78
「うーん…」
「目が覚めたかピョン」
「うわあーっ!?」
再び目を覚ますと目の前にはまた奴がいた;;
「お前俺が目を覚ますたびに至近距離にいるのやめろ!」
「寝顔を観察してたピョン」
「……」
「……」
やってしまった;;少し仮眠を取ったら脱出をするつもりだったのに思ったよりぐっすりと寝てしまっていたらしい;;
アイツが帰ってきてしまった;;
「…飯は美味かったかピョン」
ミッチーがこの状況をどうやって打開しようか考えていると深津がそう訪ねてきた;;
「あ、ああ…」
「きりたんぽ鍋だピョン。秋田の名物ピョン」
「へえ…」
こっちは自分を拉致した相手にどう接していいか分からないというのに向こうは何事もなかったかのように淡々と喋りかけてくる;;
2023/05/01(月) 20:05:08.29
「とりあえず今日は風呂入って歯磨いて寝るピョン。お前に専用の女中をつけるピョン」
「今日はって…俺ぁ神奈川に帰るぞ」
「それは無理だピョン」
深津は即答した;;ミッチーは負けじと言い返す;;
「お前にいつまでも捕まってられるか。絶対逃げ出してやる」
「まあ、せいぜい頑張れピョン」
深津はそういうと立ち上がり踵を返した;;
「あ」
「?」
振り返った深津がミッチーの元へ近づき顎を掴む;;そしてー;;
「~~;っっ」
「忘れ物ピョン」
「しねばか!!!」
真っ赤になって怒るミッチーに深津は楽しそうに目を細め今度こそ部屋を出て行った;;
2023/05/01(月) 20:10:11.47
それから深津は毎日夜の10時以降の俺の部屋を訪れた;;
俺はというと日々なんとか脱出を試んでいるが今のところ15連敗中だ;;
でも諦めずそのうち必ず脱出してやる;;
「いい加減諦めろピョン」
「悪いな、俺はあきらめの悪い男なんだ」
「…」
無表情でこちらを見つめてくる;;怒らせたか?;;
「フン、怒ったって…」
「お前のそーいうとこ、やっぱ面白くて好きだピョン」
「はあ?」
もう遅いからさっさと寝ろピョン、と呟くとアイツはさっさと部屋を出て行った;;
ちなみに、あの日からキスはされていない;;
2023/05/01(月) 20:46:58.12
>>37
また抜けた;;これの後;;

「アイツまたっ…」
顔を真っ赤にしたミッチーはしばらく出て行った方を睨み続けた;;
まさか同性、しかもあの男にファーストキスだけでなくセカンドキスまで奪われるなんて;;
俺の唇はそう安くないんだ;;今度キスされそうになったら先にぶん殴ってやる;;
まだうるさい心臓に苛立ちを覚えながらミッチーはそう決意した;;
2023/05/01(月) 20:54:02.34
そして一か月が経った;;
湘北組は相変わらず血眼で俺のことを探してくれているらしい;;
申し訳ない気持ちでいっぱいだ;;俺だって早くここから出たいのに…;;
「何考えてるピョン」
「んあ?別に」
今日は深津が休みを取れたらしく二人で昼間から敷地内を散歩していた;;
桜はとっくに散り、季節は夏の準備を始めていた;;

「ほら、団子でも食べろピョン」
「ああ、サンキュー…」
俺たちは縁側に座りぼーっと目の前の景色を眺めていた;;
「ところでよぉ」
「…」
「なんで何もしねえんだ?」
2023/05/01(月) 20:55:58.46
「してほしいのかピョン」
「そ、そうじゃねぇよ!…ただ、俺を人質に使うんでもなく馬車馬みてーに働かせるんでもなく変な実験に使うんでもなくあの時みたいにキ…」
「キ?」
「なんでもねぇ!…とにかく、俺をここに置いとく目的はなんだって聞いてるだけだ」
そうだ、俺を人質にして湘北組に何かを要求したという話も聞かないし、組に攻め込むつもりもなさそうだ;;
じゃあ一体何のために俺を…;;
「お前、鈍感すぎるピョン」
「んだとっ」
「せいぜい自分で考えろピョン」
なんだそりゃ、横暴が過ぎる;;
とてつもなく腹が立ってきたミッチーは一発この男を殴ってやろうと拳を握りしめた;;
2023/05/01(月) 21:03:30.03
ピリリリリ
「ピョン」
突然電話が鳴り深津はそれに応答した;;
「ああ、…わかった。すぐ行くピョン」
電話を切るとこちらを向く;;
「悪いが急用が出来たから今すぐ出ないといけないピョン」
「へー、そーかよ」
なんだか気がそがれたミッチーは溜息をつきながら答えた;;
「寂しいピョン?」
「んなわけねーだろ!さっさと行っちまえ!」
「お前、全然可愛くないピョン」
「可愛くなくて結構」
2023/05/01(月) 21:05:24.91
「嘘ピョン」
「はあ?…なんっ」
呆れた顔をしたミッチーが横を向いた途端唇に柔らかい質量のあるものが触れた;;
「じゃあ行ってくるピョン」
「~~~~っしね馬鹿!!」
「馬鹿じゃないから死なないピョン」
手をひらひらとさせながら深津は仕事へと出て行った;;
「ったくあンの野郎…」
ミッチーは顔が熱いことに気が付かないふりをしながらお皿に残った団子を頬張った;;


そんなミッチーの身に史上最大の危機が訪れるのはそれから一週間後のことだった;;
2023/05/01(月) 21:06:34.08
その日は東京で山王組の大事な集会があるだとかで、本家の警備もいつもより手薄になっていた;;
「もしかして、今日こそが脱出のチャンスなんじゃねぇか?」
そう思い立ったミッチーは急いで着流しを脱いで私服へと着替える;;
アイツは何やら準備で忙しいとかで五日前から東京に行っており、無理矢理持たされた携帯電話での連絡も取っていなかった;;
「やっぱ、挨拶もなしに消えるのは良くねえかな…。なんだかんだ悪い奴じゃなかったし、それに…」
ふと脳裏に思い浮かんだのは俺を呼ぶアイツの声、そして唇の感触ーー;;
「~~って何考えてんだ!俺は拉致されてる身だぞ」
ミッチーは頭を振り気を取り直して荷物を取った;;
そして一歩踏み出したその時;;

パァン!!
突然外で銃声の音が響いた;;
2023/05/01(月) 21:14:02.10
「なんだ!?」
パァン!
ガタガタガタ
「おう、ここか」
二度目の銃声、そしてその音と同時にミッチーの部屋に男たちが乗り込んできた;;
「おいっお前ら誰だよ!?」
「こいつか?あの男が最近入れ込んでるっていうお姫様は」
「ああ、写真の顔だ。こいつに違いねぇ」
「何言ってんだお前ら…」
「悪いがお前が俺たちについてきてもらう」
(なんだ?こいつら…でも)
ミッチーはとにかくまずは逃げなければ命が危ないと本能で感じ、男たちを投げ倒す勢いで走り出した;;
「おっと、逃げようとしても無駄だぜ」
「クソッ」
逃げようとしたミッチーはしかしあっという間に十数人の男たちに囲まれた;;
「アイツに目をつけられたことを恨むんだな」
直後、背後にいた男がミッチーを口元をハンカチで覆った;;
「んぐっ…んー!」
(アイツ…って)
ミッチーは薄れゆく意識の中1人の男の顔を思い浮かべた;;
2023/05/01(月) 21:22:38.92
そのころ東京;;
「組長、だいぶイラついてますね。タバコ、何本目ですか」
「シッ。最近殺人的な忙しさだったからな。迂闊に近づくんじゃねぇぞ」


「組長!!!」

突然慌ただしく下っ端が深津の元へと駆け寄った;;

「…なんだピョン」
「本家が襲撃されました!!!!」
「それで」
「本家で待機していた構成員はほぼ全員戦闘不能にされたようです。そして…その…」
「早く言えピョン」
「三井寿が、連れ去られたと…」
その言葉を聞いた瞬間深津は吸っていたタバコを思い切り握りしめた;;
「組長!手が…ッ!」
深津の表情を見た男は凍り付いた;;部屋の温度が突然下がったような気がする;;

「…殺す」
2023/05/01(月) 21:24:00.84
「…ん」
目を覚ますとそこはやけに薄暗く、冷く固い感触が肌から感じられた;;
「どこだ、ここ…いてっ」
手首に痛みを感じ首をひねって確認すると後ろで縛られている;;
そうだ;;自分は変な男たちに拉致されたんだ;;
「クソ、頭いてぇ」
ミッチーはゆっくりと起き上がった;;その時;;

「やっと起きたか、お姫様」
「誰だよお前」
「そう怯えるなよ、お姫様」
男はミッチーの顎を掴み顔を近づけた;;
「変な呼び方するんじゃねぇ。口がくせぇんだよ、離れろ」
ミッチーは必死に相手をにらみつける;;精一杯の威嚇だった;;
2023/05/01(月) 22:43:18.66
「クク、随分と威勢がいいな。アイツが気に入るのも分かるよ」
(アイツ…って深津のことだよな?)
「お前に恨みはないがアイツに借りがあってな。悪いが利用させてもらうぞ」
男がニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながらミッチーの耳元で囁いた;;
どうやら自分は人質として拉致されたようだ;;深津に恨みのある敵対組織だろう;;
しかし相手はどうやら勘違いしているらしい;;
「はっ、お前随分と馬鹿なんだな」
「…なんだと?」
「あの男は俺のことなんか偶然見つけたオモチャとしか思ってねぇよ。飽きたら捨てられる。人質にされて面倒事になったオモチャなんてもうゴミ同然だ」
「ほう?」
「俺を連れ去ったのは無意味だったってことだ。残念だったな」
そうだ。俺はあいつの暇潰しの道具でしかない;;
(……)
ミッチーはそう言いながら何故か痛む胸には気が付かないふりをした;;
2023/05/01(月) 22:51:37.59
「随分と自己肯定感の低いお姫様だな」
「だからその呼び方…」
「俺たちの間でどんな噂が流れているか教えてやろうか?」
「“山王の組長が生まれて初めて一人の人間に執着してる”」
「は?」
「山王組の組長といやあ血縁者であろうが恋人であろうが邪魔になれば容赦なく始末する冷酷な人間で有名だ」
「そんな男がどんなに忙しくとも時間を作って会いに行く溺愛のお姫様がいるってな」
「そんなわけ…」
「まあいい、お前を利用させてもらう」
そう言った途端男はミッチーの服に手を掛けた;;
「何をっ」
ビリビリビリッ;;
そしてそのままミッチーの服を破った;;
2023/05/01(月) 22:56:58.54
パシャ;;
ミッチーが驚いて声を出せずにいる間に男は服を引き裂かれたミッチーの写真を撮った;;
そしてそのままスマートフォンを操作しミッチーに送信済みと表示された画面を見せた;;
「写真を山王組に送った。これを見たアイツは一体どんな顔をするかな?」
「…ッ」
「ちなみに、これで終わりだと思ったら大間違いだぞ」
そう言った男は後ろを向いてお前ら入ってこい!と叫んだ;;
すると扉が開いて10人程の男たちがこちらへと歩いてくる;;
「アイツへのプレゼントだ。良い顔撮らせてくれよ」
下卑た笑みを浮かべる男達にミッチーは冷たい汗が流れるのを感じた;;
2023/05/09(火) 08:59:31.60

「もっと飛ばせ」
「は、はい!」
普段から冷たいその声が更に冷たく聞こえた;;
接尾語を付けるのも忘れ今にも人を殺しそうなオーラを醸し出している深津は相当怒っているのが分かる;;
運転手は全身に大量の汗をかきながらアクセルを踏み込んだ;;

「…っ、組長」
突然、隣に座る側近が震える声で深津を呼んだ;;
深津は静かに視線を向ける;;
「その…先ほどこのようなものが送られてきまして」
そう言って画面を見せた;;
2023/05/09(火) 08:59:53.86
「…っ」
画面を見た深津が固まる;;
そこに映っていたのは服を引き裂かれ半裸状態で縛られたミッチーだった;;
目を見開いた深津の拳が小刻みに震える;;全身の血管が浮いているのが分かる;;
室内の温度が下がったのを感じた;;
今まで見たことがないくらい、怒っている;;

どれほど時間が経過しただろうか;;数秒にも、数時間にも感じられた;;
ふと、通知を知らせる音が鳴った;;
同じ送り主からだった;;
2023/05/09(火) 09:00:09.18
「開け」
「しかし…」
「早くしろ」
「はっ、はい」
急いでファイルを開く;;それは短い動画だった;;震えるボタンで再生ボタンを押した;;

男の顔のアップが表示される;;
『よお~、見てるか山王組の組長さんよ』
『お前まだお姫様に手出してないってな。オモチャを大事にするなんてよっぽどお気に入りってことか』
『大事に取っておいた宝物が自分が手を付ける前に中古品にされる気分はどうだ?』
ニヤニヤとした表情で男が画面を外に向けた;;
2023/05/09(火) 09:00:29.01
『っ、やめろてめぇら!』
『早く解け糞野郎!!』
ミッチーを押さえつける男;;必死に抵抗をするミッチー;;それを囲む複数の男たち;;ミッチーの身体に勃起した汚らわしい陰茎がいくつも向けられている;;
『オラ、挨拶しろ』
画面がミッチーへと近寄る;;
『あ゛?』
『山王組の組長にだよ。早く助けて~って可愛らしく泣いてみな』
『…っ』
山王組の組長、という単語を聞いた瞬間、それまで張りつめていたミッチーの表情が一瞬くしゃりと歪んだ;;
『深津…?』
弱弱しい声で一言そう呟く;;
『そうだ。ほら、山王組組長のせいで僕は拉致されてこんな目に遭っていますと言え』
2023/05/09(火) 09:00:43.40
『……』
ミッチーは下を向いて黙り込んだ;;
『おい』
男がミッチーの顎を掴み強引に再度前を向かせる;;
再び画面の前に現れたミッチーは今にも泣きそうな顔をしていた;;
『…自分でなんとかするから、俺のことは気にすんな』
ミッチーは無理矢理笑顔をつくりそう言った;;
『お前んとこのお姫様は健気だねぇ。そう教育したのか?』
『とにかく、早く来ないと処女喪失くらいじゃ済まないぜ?』
その後男はハハハハハ!!と高笑いし、動画が終わった;;
2023/05/09(火) 09:01:27.56
「…」
深津はしばらく画面を見つめた後ふう、と短く息を吐いた;;
「後は俺1人で行く。二人とも降りろ」
「し、しかし…」
「死にたいのか?」
「…っい、いえ」
深津の恐ろしい恐ろしい表情と音色に運転手と側近の身体が固まる;;
そして二人を降ろした深津は卓越した運転技術で周りの車を抜き去っていく;;
場所は特定済みだ;;ミッチーは今山形にある敵のアジトにいる;;
しかしどんなに飛ばしても数時間はかかる;;ミッチーの無事は絶望的だ;;
「クソが…」
深津のハンドルを握る手に力が籠った;;
2023/05/09(火) 09:01:44.88
その頃湘北組;;
「おい、三井の居場所が見つかったとは本当か」
「ああ!山形にいるらしい、早く助けに行こうぜ!」
「お前ら今すぐ準備しろ」
「おう!!」
ミッチーが湘北組の構成員だと知っていた男は湘北組にミッチーの居場所を流していた;;
山王組と湘北組、潰し合って両方消えてもらうための計画だった;;
2023/05/09(火) 09:02:31.36
「はあ…はあ…追ってきてはねぇか。でもこのままじゃすぐに見つかっちまう」
ミッチーは今、アジトの中を必死に逃げていた;;

遡ること30分前;;
こっそりと腕の拘束を解いていたミッチーは男が動画を取り終わった途端男へと掴みかかり拳銃を奪うことに成功した;;
拳銃で男たちを威嚇しながら部屋を出て、脱出することができた;;
しかしアジトの中は広く、構成員も複数いて逃げたミッチーを探し回っており出口まで辿り着くことはなかなか難しそうだ;;
「…やってやろうじゃねぇか」
2023/05/11(木) 09:16:10.42

二時間は経っただろうか;;まだアジトの中を逃げ続けており、今は出口付近の物陰に身を潜めている;;
これまでに何度か見つかってしまったが、幸い相手が一人だったので怪我を負うことなく気絶させることが出来た;;
これでも裏社会で生きてきた時間は短くはないのだ;;
出口は組員が常に数人うろついている状況で脱出は容易ではない;;
何か出口から男たちを遠ざける方法を考えなくては;;
「どうしようもなくなったら…そん時は人を殺めることも視野に入れねえとな。今までそういうのは他の奴らがやってくれてた…甘やかされてきたんだ、俺は」
「…覚悟、決めねぇと」
2023/05/11(木) 09:16:33.00
(アイツは…人殺したこと、ないわけねぇよな)

ふとそんなことを考えたその時、突然辺りが騒がしくなった;;
バタン!と乱暴に扉が開き、息を切らした男が飛び込んでくる;;
「何があった」
「山王組の…組長が!」
(…ッ!)
「チッ、もう到着しやがったか。状況は」
「アイツ一人しかいないようだが次々とやられている。想像以上だ」
「よし、俺たちも向かうぞ」
「おう!」
2023/05/11(木) 09:17:27.64
(アイツが…来たのか。来なくていいっつったのに…)
(でも、)
ミッチーは目にぐっと力を込めた;;泣きたくなんかない;;アイツなんて…嫌いだ;;でも、少しだけ安心してしまったのだ;;

「っそうだ、今のうちに脱出…」
「おっと」
ミッチーが立ち上がろうとした瞬間、背後から蟀谷に銃を突き付けられた;;
「こんなところにいやがったか」
あの男だ;;見つかってしまった、ここまで来たのに;;
「付いてきて貰おうか」
「…」
(どうする、どうやってこの状況を切り抜ける)
2023/05/11(木) 09:18:45.35
ドカッ
部屋の前まで来ると男がミッチーを背後から蹴りつけた;;
ミッチーは中に倒れこむ;;
「手間かけさせやがって。まあでも、間に合ってよかったぜ」
「クソ野郎…」
ミッチーが顔を上げ男を睨みつける;;その瞬間、頬に衝撃が走った;;
「ったく、何時間も、逃げやがってよ!」
男が何度もミッチーを蹴り続ける;;
「ぐっ…はっ」

「これくらいで勘弁してやる」
「っ…う」
しばらく全身を殴打され、ミッチーは丸まってうめき声をあげることしか出来なくなっていた;;
他人からこんなに痛めつけられるのは初めてだった;;
「おい、お前」
声を出すこともできないミッチーは視線のみ男に向ける;;
「しゃぶれ」
チャックを下ろしながら男がそう言った;;
2023/05/11(木) 09:19:54.07
男は陰茎を取り出し靴の先でミッチーの顎を持ち上げる;;
「オラ、早く…」

瞬間、辺りに銃声が響いた;;

「…ッッが」
男が肩を抑え膝をつく;;

「次は外さない」
「は、」
ミッチーが痛みも忘れて扉の方を振り返る;;

「遅くなった…ピョン」

もうずっと見ていなかったような無表情の男が、世界で一番会いたくなくて、会いたい男がそこにいた;;
2023/05/11(木) 09:21:20.14
「~~っふか」
「クソがあ!!」
ミッチーがその名を呼ぼうとした瞬間、後ろから強い力で引っ張られた;;再び蟀谷に銃が突き付けられる;;
「っ」

「…」
深津は静かに目を細める;;
「ククク、残念だったな。もう終わりだぜ深津;;」
部屋の奥にあった別の扉が開き、銃声を聞いて駆けつけた構成員が次々と入ってきた;;
深津のいる方の扉からも構成員が駆けつけ、ミッチーと深津は完全に敵に囲まれた;;
「さあどうするよ?この状況」
「さすがの山王組組長さんもこれじゃあ絶体絶命だなぁ!」
ミッチーの背後で男が叫ぶ;;
「条件は」
「条件?こいつを取り戻すのか?」
「条件…そうだな、そりゃあ勿論お前の死、だ」
「―!」
その言葉を聞いた瞬間、ミッチーは男の腕に思い切り噛みついていた;;
「ぐあっ」
2023/05/11(木) 09:23:39.30
突然噛みつかれた衝撃で男の銃を持つ手が緩む;;その隙を逃さず深津が男の手元を狙って銃を撃った;;
「うおおっ」
男が痛みにミッチーを離す;;
「深津っ…!」
ミッチーは駆け出した;;
「~っ」
そして、ついにその腕の中に飛び込んだ;;
「ボロボロだピョン…お前」
深津はミッチーを優しく抱きとめる;;
「っ、なんで来たんだよ…来なくていいって言ったろ」
2023/05/11(木) 09:26:49.68
「…」
深津は何も言わずにミッチーの頭を撫でた;;

「おい、お前ら」
その声にはっとしミッチーが振り返る;;
左半身が血にまみれた男が憎悪の目でこちらを見ていた;;
「そいつを奪い返したからって、生きて帰れると思ってるわけじゃねえだろうな」
男と周りを取り囲む構成員が銃を構える;;
辺りを冷たい目で見渡すと、深津はミッチーの後頭部に手を添えたまま耳に顔を近づけた;;
「…ここは俺がなんとかするからお前は逃げろピョン」
「逃げるって、そんなん無理に決まってんだろ!」
「いいから。俺が行けと言ったら扉に向かって走れ。振り返らずにそのまま外に出ろ」
いつも自分に対してふざけているのかふざけていないのかよく分からない態度で接してくる深津のいつになく真剣な姿にミッチーはなんと返事をしていいか分からなかった;;
「でも…」
「俺を困らせるな」
「…っ」
ミッチーが押し黙ると深津は少し笑ってミッチーの頭にキスを落とした;;
「お前のこと、もう解放してやるピョン」
「は?」
口を開いた途端深津が扉付近にいる構成員を銃で撃つ;;
二人;;三人;;身体を貫かれた構成員は倒れこむ;;
「行け!」
その言葉にミッチーは全速力で走った;;これ以上彼に迷惑をかけたくなかったから;;
2023/05/11(木) 09:28:02.24
決して振り返らない;;後ろからは銃声が鳴り響く;;本当は今すぐに戻りたい;;それでも走り続ける;;それがあいつの頼み事だから;;



「はあ…っはあ…」
ついに外に出た;;上からはまだ銃声が響き渡っている;;
(絶対に死ぬな…ここで待ってるから)
(お前が生きて帰ってくるのを、必ず)

「ミッチー?」

突然名前を呼ばれミッチーは驚き声のした方へ顔を向ける;;
「やっぱり、ミッチーじゃねえか!」
「花…道?」
「ミッチー!やっと見つけた!!」
「待ってろ!いまみんな呼んでくるから!」
2023/05/12(金) 22:41:25.58
数分後;;
「三井!」
「三井サンっ」
「先輩」
久しく見ていなかった顔達がこちらへと走ってきた;;
「お前ら…」
「ボロボロじゃないっスか」
「何があったんだ。今までどこで何をしていたんだ」
「それは…」
やっと会えた大切な家族達;;ずっと帰りたかった俺の居場所…なのに;;
「わり、言えねぇ」
何があったかを言えばこいつらは激怒してどうなるかなんて明白だ;;
それに今はアイツが無事かどうか…;;ふと、そこで銃声の音が全く聞こえなくなっていることに気付いた;;
2023/05/12(金) 22:42:20.51
はっとして建物の方を振り向く;;
(生きてる…よな?)
「…?とにかく帰ろうぜ、ミッチー」
「わりぃ、お前ら!」
「あ、おい!どこ行くんだよ!」
ミッチーは走り出す;;無事を確認するため;;もう一度会って助けに来てくれてありがとう、と言うために;;


「はあ…はあっ」
あの部屋の中に足を踏み入れる;;
中は血の匂いが充満し何人もの男が倒れている;;
静かだった;;
探し求めていたその男、深津は…どこにもいない::

「おい!どこだよ!返事しろ!」
「おいってば!!」
2023/05/12(金) 22:43:06.10
部屋を出てアジトの中を走り回る;;声を張り上げながら全ての部屋を確認した;;
しかし、構成員の死体以外には虫の一匹すら見つけることができなかった;;
「…なんでどこにもいねぇんだよ」
ミッチーの声が虚しく響く;;

「あ、いたぞ!」
ミッチーを追いかけてきたらしい仲間がミッチーへと駆け寄る;;
「どうしたんだよ急に」
「死体だらけだったけど、まじで何があったんスか」
「……」
何も答えることが出来ずミッチーはただ俯く;;強く握りしめた拳は震えていた;;
その様子に皆口を閉ざしただ心配そうにミッチーを見つめる;;

(そういえばあの時、もう解放するって言ってたよな)
(解放ってなんだよ。もう俺はいらねぇってことか?ふざけんな。勝手に連れ去って勝手に振る舞って、勝手に俺のファーストキス奪って、…勝手に俺をこんな気持ちにさせて。本当に自分勝手だ)
(…勝手に消えんなよ、馬鹿野郎)

「ちゃんと帰る」
「三井…」
「ちゃんと行くから、先に外に行っててくれねえか」
2023/05/12(金) 22:43:45.31
仲間たちは何か言いたげにしつつも、ミッチーの気持ちを汲み取り心配そうにしながら外へと出て行った;;
「あいつらには迷惑ばっかかけてる。後でちゃんと謝らねーとな」

ミッチーはもう一度あの部屋へと訪れた;;少しでも手がかりが欲しいと、そう願って;;
死体を避けながらゆっくりと部屋を歩く;;
その時、ミッチーの足元でカサリと音がした;;
「なんだ…これ?」
2023/05/12(金) 22:43:53.25
そこにあったのは折りたたまれた小さな紙きれだった;;
それを拾い広げて中を見る;;
「…は」
そこに書かれていたのは;;


『ピョン』



「なんだよ…それ。ピョンって」
あいつが使う独特な語尾;;アイツと過ごして一か月以上経った今も理解できないそれ;;
でも、絶対にアイツだと分かるその言葉;;
「っくく、ははは…」
ミッチーはなんだか笑いが込み上げてきた;;
「ほんっと、最初から最後まで訳分かんねー奴」
でも、一つだけ分かった;;
アイツは、生きてる;;
2023/05/12(金) 22:45:20.33
ミッチーは肩の力が抜けてひとしきり笑った;;
なにがそんなにおかしいのかも分からなかったけれど;;
でも、いい;;アイツが生きてるって分かったから;;もうそれでいい;;
「分かったよ」
アイツは無事で、それでも俺に会いたくないのなら;;
本当はアイツが何を考えて解放してやるなんて言ったのかも理解はしてる;;
だから、今だけ、言うことを聞いてやる;;
2023/05/12(金) 22:47:29.61

ミッチーが外へと出て湘北組と合流し車に乗り込む;;

それを深津は静かに確認する;;
なんとか見つからずに済んだようだ;;
安堵の溜息を吐く;;

東京での総会で一目見ていいな、と思った;;気に入って秋田まで連れて帰った;;
こういうことは初めてではなかったし、今回も二、三日遊んで返すつもりだった;;
なのに、いつの間にか入れ込んでいた;;
あの笑う顔が、怒る顔が、恥ずかしがる顔が、もう一度見たいと思ううちに一か月以上が経っていた;;
周りにもらしくないと言われたし、自分でもそうだと思う;;
毎日仕事終わりに会いに行くのが楽しみになっていた;;
三井寿といると自分が穏やかになるのを感じる;;心地の良い相手だった;;
でも、そのせいで危険に晒してしまった;;
今までの自分なら見捨てていただろう;;
誰がどうなろうと組に影響がなければどうでもいい、そういう考えだった;;
でも今はこんな様だ;;
三井寿を奪われ正気を失い単身で乗り込んで重傷を負ってしまった;;
日本最大である組のトップとしてどれほどの失態か;;
元の自分に戻らなくては;;
たくさんの車の音と声がする;;どうやら組の奴らが到着したようだ;;
深津は静かに目を閉じた;;



それから半年が経った;;
2023/05/14(日) 01:35:23.03
ミッチーは深津と出会う以前の生活に戻っていた;;
いや、以前よりは仕事や稽古に積極的に参加するようになっていた;;
それは組に心配をかけたことへの反省であり、強くなりたいが為でもある;;
「準備はできたか」
「ああ」
今日は二か月ぶりの組長総会だ;;
二か月前の組長総会では深津の姿は見かけなかった;;別の男が代理として出席をしていた;;

会いたい;;アイツの顔を見たい;;
2023/05/14(日) 01:37:38.71
会場へと到着する;;
中で待機していると辺りが騒がしくなった;;
「山王組の到着だ」
「おい、組長の深津がいるぞ」
「重傷を負って入院していたと噂を聞いていたが復帰したのか」
いる;;半年ぶりに会える;;
ミッチーは待っていられず山王組の元へと早足で向かった;;
黒服の男に囲まれて待っていた男が姿を現す;;
その顔が見えた途端心臓の鼓動が早まった;;
「深津っ!」
「おい、組長に近づくな」
ミッチーが深津の元へと駆け寄ると周りの組員がミッチーを制止した;;
「深津、深津!」
「死にたいのか、組長から離れろ」
ミッチーが必死に深津の名を呼ぶにも関わらず深津は一度もミッチーの顔を見ようとしない;;
「俺、お前に言わなきゃなんないことがあって…っ」
「いい加減にしろ!」
「深津っ」
ふと、一瞬深津がミッチーを見た;;
ミッチーはその目を見た瞬間硬直した;;
あまりにも冷たい目をしていたからだ;;
すぐに目をそらした深津は再び静かに歩きだす;;
ミッチーは動くことができずただその場で立ち尽くしていた;;
2023/05/14(日) 01:39:13.56
ミッチーはその後何も頭に入らないまま一日を過ごした;;
そのせいでゴリに何度も怒られてしまった;;
心身ともに疲れ切ったミッチーは風呂を出てすぐに布団へと寝転がる;;
(なんだよ…あの目)
あの冷たい目がずっと頭から離れない;;
頭の片隅では分かっていた;;次に会うときは俺たちの関係は変わっているだろうと;;
それでもまたあの時のように接してくれるんじゃないかという一縷の望みに賭けていた::
しかし、実際に会った深津は明らかにミッチーを拒絶していた;;
(もう…他人に戻るしかねぇのか)

「…ふざけんな」
ミッチーはだんだん腹が立ってきた;;
他人だったのを他人じゃなくしたのは深津だ;;それを今更もう一度他人に戻れなんて自分勝手すぎやしないか;;

「このまま終わってたまるかよ。俺は諦めの悪い男なんだ」

次の日、ミッチーが再び湘北組から姿を消した;;
2023/05/14(日) 01:42:28.23
湘北組は朝から大騒ぎだった;;
「あの男はどこに行ったんだ」
「また誰かに誘拐されたんじゃねえのか」
その時花道が何かを持って走ってきた;;
「おい!ミッチーの部屋ん中にこんなん落ちてたぞ!」
それは一枚の紙だった;;そこにはマジックでこう書かれていた;;
『迷惑かけて悪い。しばらく出る。俺は大丈夫だから安心してくれ』
「全くアイツは…」
「でもまあ、好きにさせてあげましょうよ」
「…そうだな」
湘北組のみんなは知っていた;;
この半年間、ミッチーが普段通り過ごしているように見えてふと寂しそうな顔をしていたことを;;
ミッチーが消えていた一か月とすこし、何があったか詳しくは話してくれなかったけれど、きっとミッチーにとってとても大事なことなのだろう;;
「とことんやって来るといいさ」
「ミッチー頑張れよ!」
2023/05/14(日) 01:43:06.35

ミッチーは今、秋田県にある山王組の事務所前に来ていた;;
腹を括ってすう、と息を吸い込む;;
「おい深津!!出て来いこの馬鹿野郎!!!」
ミッチーの声が辺りに響き渡る;;
「誰だ!」
すぐに複数の構成員が外へと出てきた;;
「お前らんとこの馬鹿組長に会わせろ」
2023/05/14(日) 11:20:13.18
「馬鹿組長だ?お前殺されてぇのかっ」
ミッチーの挑発に組員が怒鳴る;;
「まあまあ落ち着けって」
すると別の組員が男をなだめこう言った;;
「なあ三井寿、悪いこと言わないから諦めて帰れ。組長はお前にもう飽きたってよ。しつこい男は嫌われるぞ?」
そしてミッチーの肩へぽんと手を置く;;
「触んじゃねえ」
その手をミッチーは叩き落とした;;
「お前には聞いてねえんだよ雑魚」
「あ゛?」
ミッチーの言葉にキレた男は拳銃を取り出す;;そしてミッチーの額へと銃口を突き付けた;;
「殺す」
ミッチーは精一杯男をにらみつける;;
男の指が引き金を引こうとする;;

「何をしている、ピョン」
2023/05/14(日) 11:21:04.71
「組長!!」
いつの間にか背後には深津の姿があった;;
「事務所の前で何をしていると聞いているピョン」
深津の視線はミッチーではなく部下たちに注がれている;;
「も、申し訳ございません!この男が組長を出せと…すぐに摘まみだしますので!」
深津は答えず中へ入ろうと歩き出す;;
「おい!待てよ深津!」
「待てって!!」
「シカトすんな!!意気地なし!!」
ゆっくりと深津が歩みを止めた;;
2023/05/14(日) 11:22:25.23
顔を前に向けたまま深津が口を開く;;
「帰れ。お前にはもう興味がないピョン」
「嘘つき」
「嘘じゃない」
「嘘つきだろ」
「お前…いい加減面倒だピョン」
「好きなくせにっ!」
ミッチーの声が震えていた;;深津ははっとしてミッチーを見る;;
「俺のこと…好きなくせに」
そう呟くミッチーの顔は涙に濡れていた;;
ミッチーの目からどんどん涙が溢れ出す;;
「だって俺は…俺は今もずっとお前のことが忘れられないのに。組に戻ってから飯食ってても風呂入ってもアイツらと話してても、寝ても覚めてもずっとお前のことばっか頭に浮かんじまう。」
「…」
「意味わかんねえ、俺は被害者なのに。お前に勝手に拉致された被害者だろ俺は!そんでお前が加害者だろ!お前が全部悪いんじゃねえか、俺は何も悪くねぇし俺はむしろお前に謝ってもらう立場なのに!なんで俺だけ…俺ばっか苦しい思いしてるのずりぃだろ!お前も苦しめよ。俺のことこんなふうにしたのはお前じゃねえか。そうだろ!馬鹿野郎、死ね、やっぱお前なんか大嫌いだ」
ミッチーはもう自分で自分が何を言っているか分からなかった;;ただ涙と一緒に怒りと寂しさを深津にぶつけた;;
「死ね、死ねよ、大嫌いだお前なんか、謝れクソ野郎…」
2023/05/14(日) 11:26:35.91
「…とりあえず、中に入れピョン」
深津はミッチーに近づき腕を掴んだ;;そして事務所の中へと歩いていく;;
「ふっ…う…」
泣くので精一杯のミッチーは返事もできずただ引っ張られるままに深津へと付いて行った;;

「とりあえず座れピョン。今コーヒーでも入れてやるから」
「う…ううっ」
「ミルクは」
「…いれる」
「砂糖は」
「…みっつ」
「ふっ…相変わらずガキだピョン」
「…うるせえ」
2023/05/14(日) 11:26:54.07
「落ち着いたか、ピョン」
カップを両手で持ってコーヒーを啜るのをしばらく見ていた深津はゆっくりと口を開いた;;
「…ん」
「とりあえず…悪かったピョン」
「なにが」
「お前を勝手に突き放したこと」
「…」
「謝るピョン。…ただ」
「ただ?」
「お前と半年前の関係に戻るのはやっぱり無理だピョン」
「なんで!」
ミッチーがガタンと音をたて立ち上がる;;
「自分勝手なことは分かってる、とりあえず座って話を聞けピョン」
2023/05/14(日) 11:28:17.66
「まず、俺は山王組の組長でお前は湘北組の組員ピョン。対立関係にある組織間でそういう関係が御法度なのはお前にも理解できるピョン」
「でも、それじゃあなんで俺を連れ去ったんだよ!」
「少し味見してすぐに返すつもりだったピョン。まさか、この俺が他人に情が湧くとは思わなかった」
「…お前はいつのまにか俺の弱点になっていたんだピョン。山王組の組長に弱点なんてあってはならないピョン」
「だからお前とは…」
「分かった」
「は?」
「よーく分かった。お前がどれだけ俺を好きかって」
「お前…話聞いてたピョン?」
「ああ。やっぱりお前は意気地なしだ」
「喧嘩売ってるのかピョン」
「売ってるさ。なんだよさっきから組が組がって、立場の話ばっかりだ」
「俺は組の頭なんだから当たり前ピョン」
「確かに俺はお前含め短い間で二回も拉致されちまったけど…でも、組に帰ってから必死に鍛えてんだ。次はそう簡単に拉致されねぇ」
「それにそもそも、日本一の山王組の組長が二度も好きな奴を連れていかれるなんて失態犯さねえだろ?」
「…」
深津はしばらく黙り込むと、深くため息をついた;;
「…お前、そんなに口達者だったかピョン」
2023/05/14(日) 11:36:42.62
「なあ、言えよ」
「何を」
「お前の本音。言葉にしてちゃんと言え」
「は、お前、俺よりよっぽど男前ピョン」
深津が破顔した;;久々に見せる顔だった;;
「分かった。俺の負けだ、ちゃんと言うピョン」
立ち上がりミッチーの隣へと座る;;そしてその顔をしっかりと見た;;
「お前のこと、好きだ」
「ん、俺も」
ミッチーも隣に座る男をしっかりと見つめ返す;;
やがて自然と二人の距離は縮まり、そして重なった;;
唇同士が何度か啄むように触れた後、ぬるりと厚い深津の舌がミッチーの唇を舐める;;
そのまま歯列をこじ開けるようにして舌が入ってきた;;
「…っんん」
突然のことに逃げ惑うミッチーの舌を追いかけ絡めとる;;
長い時間をかけ、ミッチーの口内が犯されてゆく;;
苦しいのに、気持ちがいい;;ぼんやりとした頭でミッチーは必死に深津へと応えた;;
深津はキスをしたままミッチーをソファへと押し倒す;;
細いがしっかりと筋肉がついたミッチーの腹に手を置き服を脱がそうとしたその時;;
「おい、深津!いるか!」
大きな音を立てて突然扉が開いた;;
2023/05/22(月) 08:40:57.37
「報告したいことが…あ」
「……」
部屋に入ってきた補佐の野辺は目の前の光景を見て死を覚悟した;;
「…お前もう破門ピョン」
「わ、悪かったな…」
「それで、要件は」
ミッチーを押し倒していた深津がため息を吐きながらミ立ち上がった;;
「ああ、それが―」
二人は話しながら部屋を出ていく;;
部屋に取り残されたミッチーはというと;;
「~~~~っ」
押し倒された時の姿勢のまま固まっていた;;
(心臓飛び出て死ぬかと思った…)
湯気が出そうなほど真っ赤なミッチーはしばらく動くことができなかった;;
2023/05/22(月) 08:41:57.98
――

あれから二時間近くが経っていた;;
「…おせーな」
さすがに平常心に戻ったミッチーはなかなか帰ってこない深津を思いながら暇を持て余していた;;
「腹も減ってきたし、一回部屋から出るか?」
しびれを切らしたミッチーはそう呟きながら扉へと向かう;;
そしてドアノブに手を掛けた時;;
カチャ
「うおっ!」
ミッチーより先にその扉が開かれた;;
「何をそんなに驚いてるピョン」
「い、いや…」
扉を開けたのは深津だった;;相変わらずの無表情でミッチーを見る;;
二時間前に部屋であったことなど覚えていないかのように;;
「突っ立ってないで早く座れピョン」
ソファに腰を下ろした深津は扉の前から動かないミッチーに声をかける;;
「あ、ああ」
二時間前の記憶が一気にぶり返したミッチーは再度うるさく鳴り響く心臓の音を聞きながら深津の言葉に従った;;
2023/05/22(月) 08:42:55.37
「ところでどこ行ってたんだ?」
「手出せピョン」
「手?」
よく分からないままミッチーは手を差し出す;;
深津はミッチーの手を取り何かをした;;
「ん、よく似合ってるピョン」
「あ?何が…」
ミッチーが目線を下に向けると、薬指には綺麗な指輪が嵌められていた;;
「これ…」
「三井」
「誕生日おめでとう。ピョン」
「誕生日…?」
はっとしてカレンダーを確認すると今日の日付は5月22日、ミッチーの誕生日だった;;
総会から慌ただしい時間を過ごしたミッチーは自分の誕生日などすっかり忘れていた;;
「結婚指輪…ではないけど、お前が誰の所有物かを知らしめるモノだピョン」
「指輪。よく見てみろピョン」
よく見ると指輪には深津のイニシャルが刻まれていた;;
「俺も」
深津の声に再度前を向くと、深津の薬指には同じデザインの指輪が嵌められている;;
きっとその指輪には三井のイニシャルが刻まれているのだろう;;
2023/05/22(月) 08:44:44.62
好きな相手とついに結ばれ、誕生日に指輪を送ってもらう;;
その事実にミッチーは嬉しさのあまりつい目頭が熱くなった;;
泣いているところを見られたくなくて勢いよく俯く;;
そんなミッチーを見て深津は小さく笑った;;
しばらく無言の時間が続く;;それは決して気まずいものではなかった;;
ミッチーがようやく顔を上げる;;
「あの…よ、俺も言わなきゃなんねえことがあって」
「総会で会ったとき、言わなきゃなんねえことがあるって言ったろ?」
「…なんだピョン」
「えっと、な」
ミッチーが少し顔を赤くして立ち上がる;;
そのまま深津の隣に移動した;;
「深津」
名前を呼ぶと同時にミッチーが深津を優しく抱きしめた;;
「あの時、助けてくれてありがとう」
それはミッチーがあの日から深津にずっと言いたかった感謝の言葉だった;;
深津は柔らかく微笑みそっとミッチーの腰に腕を回す;;
「どういたしまして。ピョン」
2023/05/22(月) 08:45:50.03
しばらく抱き合った後二人は顔を見合わせる;;
そしてそのまま自然に唇を重ねた;;
今までで一番幸せなキスだった;;

唇を離した後、深津がミッチーの頭を撫でながら口を開く;;
「俺とそういう関係になるってことは今まで通り過ごすのは不可能ピョン」
「危険も増えるし、お前のところの湘北組だって…」
「まだんなこと言ってんのかよ」
「全部覚悟の上だ。それにお前、もう一回俺を手放せんのか?」
ミッチーはまっすぐと深津を見て言った;;迷いのない表情だった;;
「…ふっ、お前やっぱ俺より男前ピョン」
深津は笑う;;
「そりゃ光栄だな」
ミッチーも笑った;;
もう一度目が合う;;
熱を持った瞳が揺れ、二人の顔が近づき―

「おい、深津!さっきの件だが…あ」
大きな音を立て扉が開き野辺の声が室内に響き渡った;;
野辺がまさに重なり合う直前といった深津とミッチーを目に留め冷や汗を流す;;
「お前……」
「わ、悪い」
深津が胸元から静かに銃を取り出す;;
「おい!落ち着けって深津!!」
ミッチーが慌てて止めに入った;;
「離せ。今度は許さない」
「接尾語忘れてんぞ!」
「ちょっと!おい!」
野辺が全速力で逃げ、深津はそれを追いかけていってしまった;;

「……行っちまった」
ミッチー1人残された部屋はあっという間に静かになった;;
しかし開け放たれた扉の遠くからは何やら騒がしい声が聞こえる;;
「は、ははははっ」
ミッチーは笑いながらソファへと寝ころんだ;;
2度も邪魔が入ったけど、平気だ;;
もう2度と会えないかもしれないと思ったあの時に比べれば;;
これからは何度でもキスをすることができるし、それ以上のことだってできる;;
愛し合うことができるんだ;;
「最高の、誕生日プレゼントだな」
ミッチーは薬指に嵌められた幸せの証を眺めながらそう呟いた;;


おわり;;
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