(社説)米軍PFAS 調査と対策 住民本位で

 健康への影響が懸念されるのに、汚染源の調査すらままならない。対策に必要な費用も自治体任せ。こんな理不尽な対応が、いつまでも許されていいわけがない。米軍と日本政府は住民の不安に正面から向き合い、実態解明と環境浄化を急ぐべきだ。
日米地位協定の壁に守られた米軍基地の場合、日本側の調べがほとんど及ばないのが実情だ。
 米国は本国では規制を強化し、大規模な対策予算を組んでいる。ハワイでは、市民の抗議デモを受け、海軍の燃料貯蔵施設の閉鎖を決めた。自国民の健康被害や世論には敏感に対応するのに、日本の住民の懸念は置き去りというのでは、「二重基準」のそしりは免れない。
 米軍はドイツの基地では、自らの負担で汚染の調査や浄化作業をしているという。ベルギーや韓国の基地でも、水質検査を実施しているとされる。日本での取り組みの不十分さが際立つ。
 PFASの汚染は、沖縄だけでなく、東京都の横田、神奈川県の横須賀、厚木、青森県の三沢など、全国の米軍基地で報告されている。国民の健康を守るのは政府の責任だ。米軍に対し、調査に協力し、再発防止に万全を期すよう、強く求めるべきだ。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15859710.html?iref=comtop_Opinion_04