令和元年(2019年)の日本人の平均寿命は男性81.41年、女性87.45年ですが、日常生活が自立している期間である健康寿命は男性72.68年、女性75.38年です
また、介護が必要となる期間は男性8.73年、女性は12.06年になります(厚生労働省統計)

2011年の厚生労働省の推計によりますと日本人の生涯医療費の平均は2,500万円(男性2,400万円、女性2,600万円)となっています。特に70歳以上が大きく、生涯の医療費の約半分はこの時期以降に使われているという計算です。(三井住友信託銀行)

介護保険の受給者は7割が女性です。高齢男性の人口は女性より少ないですが、男性は年齢ごとの介護保険の利用率も低いです
理由は、男性のほうがもともと筋肉量が多いので、転倒する人が女性より少ないからです。しかも、加齢で女性ホルモンが低下すると女性は骨が弱くなります
つまり女性は骨折から寝たきりになりやすく、介護が必要になるのです
(女性の認知症有病率は男性の約1.6倍で、90歳以上は女性の6割以上が認知症を発症します)

年齢・階層別認知症罹患率(2013年)
80〜84歳 男性16.8%、女性24.2%
85〜89歳 男性35.0%、女性43.9%
90〜94歳 男性49.0%、女性65.1%
95歳〜  男性50.6%、女性83.7%
(認知症施策推進のための有識者会議資料より)

日本の公的年金制度(厚生年金保険及び国民年金)は、現役世代が納める保険料で、その時々の高齢者世代に年金を給付しています(賦課方式)。日本の年金制度は世代間扶養の考え方を基本としています

男性の死亡最頻値は87歳、女性は93歳で、共に約3割を占めます。100歳以上の9割は女性です

老後リスクに民間の保険制度で対応するなら、本来はリスクの高い人(女性)から多くの保険料を徴収する必要があります。(個人の積立方式も同様)
ですが、国の社会保障制度では、収入の多い人から多くの保険料を徴収しています
賦課方式の社会保障制度が、老後リスクの高い女性や社会的弱者をカバーしているのです

少子化が続くと、現役世代が減るため、だんだん社会保障の水準が低下し、みんな一緒に少しずつ貧しくなっていく社会になります(GDPも減少するため、より円安にもなる)

日本総研は子供のいない65歳以上の高齢者世帯が、2020年と比較して2040年には532万世帯まで倍増すると試算している