●「強制入院天国」と痛烈批判…「医療保護制度廃止して」
原告側は、火山さんのように「違法な強制入院されられたケース」は氷山の一角であるとして、「医療的な理由ではなく、家で手に負えない家族を厄介払いとして精神科病院に入院させる『社会的入院』は深刻な社会問題」だと訴える。

火山さんの代理人を務める倉持麟太郎弁護士は、人口100万人あたりの非自発的入院者数は、欧米では「約70人」であることに対し、日本では「約1000人」だと指摘。この現状を「強制入院天国」と表現し、医療保護入院制度を痛烈に批判する。

「この制度については1980年代から国際的にも『この制度を廃止せよ』と指摘を受けており、2022年にも国連障害者権利委員会から廃止の勧告がされています。

また、日本の医療保護入院制度をモデルにした韓国の保護入院制度は、同国の憲法裁判所で2016年に違憲判決が出され廃止しています。

ところが、2022年10月の臨時国会では、医療保護入院について家族が同意を拒絶した場合は市町村長が強制入院というさらに入院させやすくする法改正をしており、立法過程ではどうにもならないだろうと。戦後ずっと言われている問題ですので、司法に打って出ました。

もちろん、火山さんに対する措置は違法だと考えていますけれども、そこから一歩進んで、医療保護入院制度は違憲であるという判決をとって、ボールを立法や行政に投げ返すということを目指した訴訟です」(倉持弁護士)