「犯人捜し」で対応が機能不全に… 岐阜・岐南町長のセクハラ問題 耐えかねて辞職者も出た後、週刊誌に情報提供 調査委報告
3/7(木) 10:49配信
読売新聞オンライン
調査委員会の報告書を受け取る岐阜県岐南町の傍島副町長(岐阜県岐南町で)

 セクハラ、パワハラなどが認定され、5日付で辞職した岐阜県岐南町の小島英雄・前町長(74)の不適切な行為は、多くの町職員が不快と感じながら、3年以上にわたって繰り返された。弁護士による第三者調査委員会が2月27日に提出した報告書は、前町長の特異な性格やハラスメントに対する無自覚などに加え、「組織対応の機能不全」を原因に挙げた。役場内で何が起きていたのか。

■自衛を助言
 21年4月には女性職員から尻を触られたとの相談があったが、「犯人捜しをする」などと考え、町幹部らは「嫌なことをはっきり伝える」「証拠を残す」などの自衛手段をアドバイスするにとどまった。その後も相談の度に同様の対応を繰り返し、「総務課による対応は事実上不能になっていた」(報告書)。

 調査委の町職員(161人)への調査では、他の職員がセクハラ、パワハラに当たる行為を受けていると感じた職員は8割以上に上るなど二次被害が拡大。

■最後の手段

 女性職員は録音などの記録を残し、録音機器を私的に複数購入して女性職員に渡す男性職員もいた。23年4月に秘書がセクハラに耐えられずに退職を決意。最後は他の被害者らが週刊誌に情報提供するに至った。

 組織対応ができなかったことについて、傍島敬隆副町長は2月の記者会見で「我々にも責任がついて回る。反省するのみ」と述べた。

 町によると、前町長の退職金は1125万円。調査委の調査費用は1241万円に膨らみ、町は増加分を町議会に提案している。