『ギョロ目ハゲキノコが来た村』

山深く霧の立ちこめるところに道から食卓が丸見えのおかしな斜めの家が立ち並ぶ、ギョロ目ハゲキノコが来た村。
この村では昔から、「秋の霧の晩に森へ近づいてはならぬ」という言い伝えがあった。
だがその晩、年老いた猟師が森へ入り、翌朝、目玉の位置がおかしくなった状態で帰ってきた。
そして彼は、二日後に「胞子のようなもの」を吐きながら死んだ。

同じ頃、村に現れたのは、奇妙な姿をした謎の存在。
丸く膨らんだキノコのような体、むき出しの巨大な目玉。
頭髪のようなものは一切なく、常にどこかをじっと見つめている。

村人たちはそれを「ギョロ目ハゲキノコ」と呼んだ。
だがそれはあくまで、恐怖を和らげるための“呼び名”にすぎなかった。

黒いヅラップワゴンに乗ったギョロ目ハゲキノコが現れてから、村では奇怪な現象が続く。
子どもたちは同じ悪夢を見る。「森の中で目玉に見つめられている夢」。
鳥の声が止み、家畜が黙り、時間の流れが歪むような感覚。
そしてある夜、村の若者の少女ナナが「きのこになって」立っていた。

村の古文書によれば、かつてこの地には「目の神」と恐れられる存在が封じられていた。
それは“見つめることで心を喰らい”、“笑わずして心を操る”。
神でも妖でもない、ただ「こちらを見る」存在、フガフガハゲフリード。

少年コウイチは、祖母の残した手記と村の禁書をもとに白いフリウスに乗り込み、
“目と菌”にまつわる忌まわしい儀式と、封印の真実を突き止めおかしな家にフェンスを設置した。