はっぴいえんど「ゆでめん」通り界隈『KEMURISOU』(新宿区・西新宿):東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/356870

2024年10月4日 10時00分

タヌキとコーヒーの関係

 西新宿の高層ビル街の裏手、かつて十二社じゅうにそうと呼ばれたあたりには、昭和風情の商店街が辛うじて残っている。尤もっとも最近は、ちょっと目を離したすきにドカッとタワマンに変貌していたりもするのだが、大江戸線の西新宿五丁目の周辺に好みの散歩地帯がひっそりと存在している。
周辺には「柳橋」のほか古びた橋柱が数か所残されている。

 駅の出口から方南通りへ出て、老舗台湾料理の「山珍居」(近頃ずっと閉まっている)と反対側の北方の路地を奥へくねくねと入っていくと、2階屋の小店が軒を並べる筋へと行きあたる。飲み屋、食料品屋、美容院…背の低い家並の向こうに都庁のビルが聳え立つ、コントラストのある景色がおもしろい。

 そんな通りの一角に「柳橋」という古びた橋柱が残されているけれど、片一方に刻まれた竣工年月は昭和七年(1932年)九月。暗渠あんきょになったこの下を流れていたのは旧神田上水の支流で、古地図で川筋をなぞると笹塚の北外れに水源がある。 

 とまあ、暗渠マニア的な話はこのくらいにして、ここ柳橋のポイントは“シティポップマニア”にもちょっと知られているところだ。1970年(昭和45年)に発売された「はっぴいえんど」の最初のアルバムに林静一が描いた「ゆでめん 風間商店」と掲げた店のモデルがこの橋際にあったのだ。

  
 今回訪ねる喫茶店は、夏の盛りにこのあたりを歩いていたときに発見したもので、「ゆでめん」のポイントの2、3軒並び、歩いてきた商店通りの入り口角にある。「KEMURISOUケムリソウ」というその店は、かつては別の商店だったと思しき古民家カフェ風で、玄関先の大きな鉢植えに柿の木が植わっているのも目に残った。

(略)

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