【ワシントン=渡辺浩生】バーンズ米中央情報局(CIA)長官は2日、ワシントンで、中国の習近平国家主席が2027年までに台湾侵攻の準備を整えるよう軍部に指示していたとの情報を明らかにした。習氏の台湾統一への野心を過小評価すべきではないとも指摘した。ロシアが侵略を続けるウクライナ情勢は「次の6カ月が極めて重要」とし、米国や同盟諸国が可能なあらゆる支援を続けるべきと訴えた。

バーンズ氏はジョージタウン大学主催の行事に参加。台湾をめぐる質問に対し「CIAの評価として、習国家主席の台湾に関する野心を過小評価していない」と述べたうえで、「インテリジェンスによってわれわれは、習近平氏が27年までに成功した侵攻を行う準備をするよう人民解放軍に指示したことを把握している」と述べた。

「27年か他の年に侵攻することを彼が決めたというわけではない。しかし、彼の関心と野心が本気であることを注意喚起させるものだ」と指摘した。

台湾侵攻の時期をめぐっては、デービッドソン米インド太平洋司令官(当時)が21年3月、侵攻の脅威が27年までに顕在化する可能性を示した。しかし、昨夏のペロシ下院議長(当時)の訪台に反発した中国の軍事的威圧の強化以降、米当局者からは前倒しを予想する発言も相次ぎ、今年1月にはミニハン空軍大将が内部のメモで「直感では25年に戦うことになると思う」と述べたことが米メディアに報じられた。

バーンズ氏は、習氏が具体的な時期を示し侵攻準備の完了を軍に命じたことを明らかにすることで習氏の野望が揺るぎないと警告し、抑止力強化を急ぐよう促したとみられる。

一方、バーンズ氏は、習氏がウクライナにおける「露軍の貧弱な戦果に驚いた」とし、「自らの軍の近代化と台湾のような特定の課題に教訓を得ようとした」とも指摘した。

習氏とプーチン露大統領は昨年2月の首脳会談で両国の友好関係に「制限はない」との認識で一致。バーンズ氏は、中国がロシアが望む殺傷兵器の供与は控えているとしつつ「(中露の)協力関係への関与を過小評価するのは誤りと思う」と警戒を促した。

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