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 仁川国際空港の到着ゲートから、終始うつむいた選手たちの一団が登場した。迎えたファンは数える程度で、彼らがサインを求めるのも躊躇うほど暗い雰囲気だったという。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド・プールBは月曜日に全日程が終了。東京ドームで連日開催された5チームによる争いは1位・日本、2位・オーストラリア、3位・韓国、4位・チェコ、そして5位・中国という順位で決着を見た。

 侍ジャパンの対抗馬と見られていた韓国代表は初戦のオーストラリア戦で7対8と敗れたのが痛恨だった。総合力で劣る中国とチェコには勝利したものの、日本には4対13の惨敗を喫して2勝2敗。崩壊した投手陣を筆頭に、国内ではチームの不甲斐ない戦いぶりに対して大バッシングが展開されている。

 そんななか、韓国代表選手団は火曜日午後に帰国の途についた。現地17時すぎに仁川国際空港に到着すると、押し寄せた大勢の報道陣の前に姿を現わしたのはイ・ガンチョル監督のみ。憔悴し切った表情で頭を下げ、「申し訳ない、申し訳ない……この言葉しかありません。敗北の責任は全て私にあり、どうか私を非難してほしい。選手たちはよく頑張った。だから彼らへの非難は控えてほしい」と訴えた。

 指揮官がひとり矢面に立つなか、選手たちは無言のまま取材にも応じず、すぐさまバラバラで帰路についたという。こうした振る舞いに怒りを露にしたのが地元メディア『スポーツ朝鮮』だ。「なぜ挨拶もなく去ったのか?」と題して、次のように論じている。

「なんて不遜で残念な態度だろうか。2014年のブラジル・ワールドカップではサッカー代表も同じように惨敗を喫した。それでも彼らは帰国するや報道陣の前に出て、期待してくれたファンに頭を下げて、次の戦いでのリベンジを誓ったものだ。サッカー代表は結果どうこうに関係なく、最後はけじめをつける。なぜか? 太極旗(国旗)を身につけた選手ならば当然なすべき行動だからだ。

 一方で、韓国野球代表はどうか。到着ゲートに着くや、あっという間に全員が散り散りになった。メダルなしに終わった2021年の東京オリンピックの帰国時もそうだった。2008年の北京オリンピックで優勝したときや、2006年のWBCで準優勝したときは盛大なセレモニーがあったが、結果がどうこうの問題ではないだろう。もはや足早に去っていく彼らの背中は哀れと言うほかない。日々発展を遂げているサッカー界とは大違いである」
 スポーツメディア『SPOTV News』は今後の深刻なファン離れを危惧する。

 こちらは、「韓国野球はこれから開幕するKBO(韓国プロ野球)リーグで、いかにして失墜したファンからの信頼を取り戻すのか。仁川では選手たちの帰国を待つファンは皆無に近かった。一番怖いのは非難よりも無関心であることを、彼らは理解すべきだ」と断じた。

構成●THE DIGEST編集部

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