資産運用立国の正体
日本の家計金融資産の状況
−世代間の偏在と家計ポートフォリオの差異−(2022年12月)
https://www-nli--research-co-jp.cdn.ampproject.org/v/s/www.nli-research.co.jp/report/detail/id=73406?amp_gsa=1&_js_v=a9
井上智紀 ニッセイ基礎研究所

家計金融資産は、コロナ禍で経済が停滞する中増加に転じ、2021年度末には2,000兆円を超えている。負債を差し引いた差額でみても、2019年度末の1,462兆円から2021年度末には1,632兆円と初めて1,600兆円を超えている

世帯主年齢階級別の資産シェアを算出してみると、60歳代が30.7%で最も多く(退職金のため)、70歳代(25.6%)、50歳代(16.0%)、80歳以上(14.0%)、40歳代(9.0%)の順で続く
結婚・子育て世代の30歳未満(0.5%)、30歳代(4.2%)のシェアはそれぞれ5%に満たない

60歳以上の高齢層が、日本の家計金融資産の7割を持っている結果となっており、世代を問わず貯蓄がない世帯が約1割超程度存在しているものの、依然として家計金融資産の大半が高齢者層に集中する状況が続いている

総務省の調査だと、上位2割の金融資産を持つ世帯の、世帯主の平均年齢は65歳だった

(海外の雇用形態はジョブ制のため、退職金制度はほとんどありません。現役世代の給与に含まれます)

世代別平均資産
全世代平均 1077.4万円

30代未満 179.8万円
30歳代 530.0万円
40歳代 650.9万円
50歳代 1075.4万円
60歳代 1461.7万円
70歳代 1255.6万円
80代以上 1195.4万円

日本での死亡最頻値(ピーク)は男性87歳、女性93歳(ともに約3割を占める)なので、ほとんど現役世代には相続されていない

認知症の高齢者が持つ金融資産は2020年で156兆といわれ、30年には230兆を越えると言われている。(第一生命経済研究所)
つまり、日本の家計金融資産の約1割を認知症患者が持っているということになる

日本の経営者の年齢分布
最高は70代以上の33.3%
2022年の社長の年齢分布は、70代以上が33.3%(前年32.6%)で、2019年から4年連続で30%台。 50代も24.6%(同24.1%)と上昇が続くが、30代以下、40代、60代は前年を下回った。2023/01/31