関係者によると、確認不足が判明したのは、軌道敷設に伴う駅地下・岡山一番街北エリアの補強工事。市は、エリアの全ての通路を封鎖してはりや柱を補強する予定だったが、火災などに備えて通路の常時確保を求める建築基準法に抵触する恐れがあることが着工前の詳細設計で分かった。通路確保には工事区域を細かく分けて順番に進める必要があり、工期の大幅な延長を余儀なくされるという。

 市が休業補償を支払う店舗数は、9店からほぼ倍増。路面電車の正面衝突を避ける制御装置なども設置が必要と新たに判明し、事業費を押し上げる要因となった。市の負担分は、国の補助率が高くなる交付金を活用することで2億円程度の増加になるとみている。

 乗り入れ事業は大森雅夫市長が就任直後の13年に検討する意向を示し、18年度から本格的に動き始めた。岡山駅前電停から軌道を駅方向に約100メートル延ばし、東口広場に電停を新設する。公共交通の利便性アップや中心部の回遊性を高める狙いがある。