(続き)時計の針が6時を回った頃だったろうか,業務を終え待機していたら
Aさんが少し離れた所からこんな事を言う。
「お前たち朝飯喰ってないだろう!うちに何か余りものがあるから食べて次へ行け」と。
一応朝食は用意していた。でも,Aさんの声掛けに驚きながらもその厚意に甘えた。

そんなことがあって,およそ4か月後の6月のある日。
事故でAさんは帰らぬ人となった。
あんなにいがみ合っていたAさんだが,数か月前には自分の運命が分かって
いたのだろうか。
人間はこの世を去る前には,何となくそれが分かって仏のようになるのかも知れない。
あれから随分時間が過ぎ去っていった。自分も人生の時間を積み重ねたこともあって,
あの頃のAさんの行動や考え方に理解できる部分が多くなった。
毎年,Aさんの命日が近づくと心の中で冥福を祈っている。

最近の私は,ずいぶん「善い人」になっているので,Aさんの住むところに行く日が
近づいているのかも知れない。この世に未練を残さないためにもお酒をたくさん飲んで
おこうと思う今日このごろであるヽ(^。^)ノ