https://mainichi.jp/articles/20211115/k00/00m/030/016000c

毎日新聞 2021/11/15 09:12(最終更新 11/15 09:26) 548文字




 バンコクで14日、王室改革の要求を憲法違反と判断した憲法裁判所の判決に抗議するデモが行われた。ワチラロンコン国王が滞在中と報じられたドイツ大使館前まで数千人が行進し、王室に対する不敬罪の廃止や当局に拘束されたデモ隊メンバーの解放を訴えた。

 デモ隊は「絶対王制はいらない」「王室改革(の訴え)は廃止(の要求)ではない」などと声を張り上げながら行進。途中で警察官と衝突し、警察によると少なくとも3人が負傷した。ドイツ大使館ではメンバーが館員に声明を手渡した。



 憲法裁は10日、デモ隊のリーダー格の学生ら3人の王室改革要求が立憲君主制の転覆を図ったとして違憲と判断し、今後の活動を禁じた。判決後、ウィサヌ副首相はデモ隊に対し判決に従うよう警告したが、メンバーは国家転覆の意図を否定し、デモを強行した。

 ドイツ大使館へのデモ行進は昨年10月以来2回目で、ドイツのタブロイド紙ビルト(電子版)が今月10日、ワチラロンコン国王とみられる男性がドイツ南部ミュンヘンの空港付近のホテルで目撃されたと報じていた。8日に約1年ぶりに入国したとみられるという。



 当初はバンコクの民主記念塔前から王宮前広場まで行進する予定だったが、当局がバリケードで進路をふさいだため、集合場所と行き先を変更した。【バンコク高木香奈】