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2021年12月08日17時50分

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損害保険ジャパン本社=東京都新宿区




 福岡市中央区の駐車場で2017年4月、金塊取引のため用意された現金約3億8000万円が強奪された事件で、被害に遭った貴金属買い取り会社「Flawless」(東京都台東区)が損害保険ジャパン(同新宿区)に約3億9000万円の保険金を請求した訴訟の判決が8日、東京地裁であった。沢村智子裁判長は請求を認め、損保ジャパンに同額の支払いを命じた。


 判決によると、事件前にFlawlessへ強奪を予告する匿名の電話があったが、同社の代表は福岡市での取引について警備を依頼したり、従業員に注意喚起したりしなかった。損保ジャパンは代表が事件を計画し、保険金を詐取しようとしたと推認できると主張。支払いを拒否していた。
 沢村裁判長は、電話は匿名だった上、別の場所での取引についての事件予告だったとし、警備強化や注意喚起をしなくても不自然とは言えないと指摘。「(代表が)事件の計画を知っていたと判断することはできない」と退けた。
 損保ジャパン側は、従業員が1人で現金を輸送した上、犯人の逃走を許したとして、事件は従業員の故意によるものだとも訴えたが、沢村裁判長は「認めるに足りる証拠はない」と結論付けた。
 事件では強盗致傷罪などに問われたリーダー格の男に懲役12年の判決が言い渡された。
 損保ジャパンは取材に対し「判決内容を精査し、今後の対応方針を検討する」とコメントした。