https://www.sankei.com/article/20211216-T5KHQZRGK5MAHMGDQXLA7J5WRI/
2021/12/16 15:30


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北海道・根室半島の納沙布岬(左下)沖に広がる北方領土。歯舞群島(中央)、色丹島(右上)、国後島(左奥)。はるか右奥にうっすらと択捉島が見える

ロシアが不法占拠する北方領土の国後島周辺で、同国が16日から射撃訓練を実施すると通告してきたことが、日本政府関係者への取材で分かった。ロシアは北方領土で大規模な軍事演習を実施、各島で局地的な訓練も常態化させおり、日本政府は実効支配を強める動きとして警戒している。

政府関係者によると、ロシアは16日以降、国後島で射撃訓練を行うと通告してきた。日本政府は外交ルートを通じて「ロシアの北方領土での軍備強化につながるもので、わが国の立場と相いれず、受け入れられない」と抗議した。

15日にはロシアの情報収集機とロシアのものとみられる航空機が、オホーツク海経由で日本海と太平洋を往復し、一部が北方領土上空を通過するなど長距離を飛行した。航空自衛隊の戦闘機は緊急発進(スクランブル)して対応した。ロシアが同じ日に多発的に日本周辺を飛行するのは特異な行動で、防衛省は警戒している。

ロシアは今年、国後島や隣接する択捉島の周辺で軍事訓練を相次いで通告してきた。両島には地対空ミサイルシステムを実戦配備している。北方領土では2月と6月、先進的な戦闘を想定した大規模演習も行ったとされ、軍備強化が懸念されている。

一方、プーチン大統領は9月、北方領土での経済特区創設を表明した。韓国政府に投資を呼びかけるなど経済活動も活発化させている。日露間では北方四島での共同経済活動が議論されてきた経緯があり、日本側は露主導の第三国も含めた開発や投資呼び込みは容認できないとする立場だ。