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毎日新聞 2022/1/29 07:15(最終更新 1/29 07:15) 761文字




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米国国旗の星条旗=2018年1月、高本耕太撮影

 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は28日、記者会見し、ロシアはウクライナ国境周辺だけでなくウクライナ全土に軍事侵攻できる態勢を整えているとの見方を示した。配備されている部隊で侵攻した場合、「かなりの数の死傷者が出る。都市部などでおぞましい被害が出るだろう」と危機感をあらわにした。

 ロシアはウクライナ国境周辺に10万人超の軍部隊を展開し、軍事的圧力を強めている。ミリー氏は、陸海空軍、特殊部隊、サイバー電子戦部隊に加えて弾道ミサイルなども配置されていると説明。「過去の軍事演習では見たことはなく、冷戦時代にさかのぼる規模だ」と語った。



 一方で、「ロシアが侵攻の最終決断をしたとは考えていない」と強調。「外交的に解決する余地があると信じている」と述べ、ロシア側に緊張緩和を促した。

 オースティン国防長官も記者会見に同席し、東欧派遣に向けた準備を命じている約8500人の米兵について「まだ動かしていない」と述べた。派遣を始めたとしても「同盟国に防衛義務を果たす準備ができていることを示し、安心を与えるためのもの」であり、ロシアへの挑発との見方を否定した。



 そのうえで、オースティン氏は戦闘部隊をウクライナに投入する考えを改めて否定した。有事の際のウクライナからの米国民などの避難については「さまざまな選択肢を準備している」と述べるにとどめた。

 また、ウクライナに防衛装備品の提供を続け、自衛を支援すると強調。ロシアがウクライナ南部クリミア半島を一方的に編入した14年以来、27億ドル(約3110億円)以上の軍事支援を提供し、21年は最大の6億5000万ドルに上ったと説明した。同12月にもバイデン大統領が2億ドル規模の追加支援を承認し、現在も対戦車ミサイルや迫撃砲などの提供を続けているという。【ワシントン鈴木一生】