春は近いか、まだ先か。昨秋の首相交代から4カ月余り。世論の支持を失い政権を去った面々が、動き始めている。

 2月8日、東京・永田町の衆院議員会館にある菅義偉前首相(73)の事務所で、菅氏と自民党麻生派の佐藤勉・前総務会長(69)が向き合っていた。

 「迷惑をかけるかもしれませんが、麻生派をやめます」

 麻生派で会長代理を務める佐藤氏は、麻生太郎副総裁(81)より先に、無派閥の菅氏に自身の「脱藩」を伝えた。菅氏は止めることも勧めることもせず、「大変だね」といたわった。

 両氏は1996年の衆院選の初当選同期。ともに世襲議員ではない「たたき上げ」で、互いを「ベンちゃん」「スガちゃん」と呼び合う。佐藤氏は党国会対策委員長を長く務めるなど、議会運営や調整の経験が豊富だ。菅氏は自らの政権で、うるさ型が集う党総務会のしきり役を佐藤氏に委ねた。

 佐藤氏が菅氏に伝えた「迷惑」とは、岸田文雄首相(64)と距離がある両氏が近づき新たな政治勢力をつくるのではないかと、党内に警戒感が広がることだ。

 実際、「佐藤氏脱藩へ」の情報はこの後、党内で拡散。佐藤氏に近い議員からは「勉さんは、菅さんを軸に一気呵成(かせい)に結集したい考えだ」との思惑も語られた。佐藤氏は2月中に派閥を抜けるとみられ、「きな臭い」「誰が追随するのか」などと臆測を呼び、不穏な空気が流れた。

自民党内でにわかに漂う不穏な空気。注目を集めるのは、前政権ツートップの菅前首相と二階俊博元幹事長の動きです。83歳の誕生日を迎えたばかりの二階氏は、ある考えを語ったと言います。記事後半で紹介します。

■「菅氏中心に70人」の意味…(以下有料版で,残り1947文字)

朝日新聞 2022年2月21日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/ASQ2M74C9Q2LUTFK00J.html?iref=comtop_7_02