物価高などを受けた緊急経済対策の財源をめぐり、与党内の綱引きが続いている。公明党は5日も、2022年度補正予算案を編成し、今国会で成立させるよう主張。与党に急接近する国民民主党も、公明党に「加勢」した。これに対し、岸田文雄首相や自民党執行部は慎重姿勢を崩していないが、同党内の一部で容認論もくすぶる。
 公明党の山口那津男代表は記者会見で「急激な国際情勢の変化、物価高、新型コロナウイルス対応も視野に入れ、補正成立を図るべきだ」と改めて提起。今国会の閉幕直後に控える参院選が「政治空白」を生む可能性に触れた上で、「対応を誤れば政治の責任になりかねない」と厳しい言葉で対応を迫った。
 山口氏はまた、首相に電話で直接要請したことも明かし、首相から「補正予算を否定しているわけではない。まず(22年度予算の)予備費での対応を優先する」との返答があったと紹介。「補正のタイミングは今後、煮詰めていく必要がある」と、引き続き今国会成立を求める考えを強調した。
 国民の玉木雄一郎代表も会見で、政府が検討する予備費の活用を疑問視し、「十分な額と内容の補正予算を今国会で成立させ、対策の空白を作らない手だてが必要だ」と訴えた。近く総額18兆円規模の独自対策を取りまとめる方針も示した。
 自民、公明両党の幹事長、国対委員長は5日、東京都内で会談したが、補正編成は話題にならなかったという。ただ、自民党の高木毅国対委員長は会談後、記者団に「この国会で成立は難しい」と指摘。世耕弘成参院幹事長も会見で「拙速に作っても経済効果は期待できない」と述べた。
 一方、公明党と太いパイプを持つ自民党の菅義偉前首相は3日のフジテレビ番組で「補正予算も考えながら結論を出すべきだ」と表明。閣僚経験者も「(緊急経済対策は)補正でやった方がいい」と同調した。

時事通信 2022年04月06日07時13分
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