「新型コロナに“漢方薬”が有効」東北大の研究グループ ヒントは「100年前のスペイン風邪」だった
TBC東北放送2022年12月7日(水) 14:06
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tbc/223891

新型コロナウイルス感染者の発熱の緩和や重症化の抑制に漢方薬が有効であるとの研究結果を東北大学の研究チームが発表しました。漢方薬は価格が安く安全性も高いため、治療への活用が期待されます。

研究結果を発表したのは、東北大学大学院医学系研究科の高山真特命教授の研究グループです。 東北大学大学院医学系研究科 高山真特命教授: 「こちらが今回の研究ではっきりと結果の出てきた『葛根湯』と『小柴胡湯加桔梗石膏』のセットになります」

風邪のひき始めなどによく処方される葛根湯はなじみのある人も多いと思います。小柴胡湯加桔梗石膏は、のどの痛みがある際などに処方される漢方です。
研究グループは去年2月から今年2月までに、コロナ感染者161人を対象に葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を1日3回服用するグループと、症状に応じて解熱剤などを服用する通常の診療グループに分け経過を比較しました。
その結果、症状の推移をみると漢方薬を使ったグループは、発熱がある人の割合が通常診療のグループに比べて早く減少しました。つまり回復が早かったのです。

また、呼吸不全に至るリスクも2種類の漢方薬を使ったグループの方が通常の診療をしたグループより低くなりました。

今回の研究のヒントになったのはおよそ100年前の出来だったといいます。

東北大学大学院医学系研究科 高山真特命教授:
「100年前のスペイン風邪ですね。今でいうインフルエンザ、その中で使われていたのが今回の葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏が含まれている『柴葛解肌湯』という漢方薬。それをヒントにコロナで使うことにした」

長い年月にわたって使われてきた漢方薬には、新薬とは違ったメリットがあると高山特命教授は指摘します。

東北大学大学院医学系研究科 高山真特命教授:
「ひとつは安全性の面がある程度分かっている。すでに使われている漢方薬なので開発費用のプラスアルファがなくて、保険適用で使えて経済的に安い」

高山特命教授は、今回の研究により漢方薬が新型コロナの治療に有効で、発熱の緩和や重症化の抑制に貢献できる可能性が示されたとしています。