年金増、物価高騰追いつかず 「キャリーオーバー」、高齢者負担増も
深掘り 石田奈津子 有料記事
2023/1/20 19:39(最終更新 1/20 21:32)
https://mainichi.jp/articles/20230120/k00/00m/040/283000c

 来年度の公的年金額は3年ぶりの増額改定となった一方、物価高騰などには追いつかず、実質的には0・6%の目減りとなる。長期的に年金財政を維持し、将来世代の支給水準を確保するための対応だが、食料品や光熱費などの値上がりが続く中、年金頼みの高齢者にとってはさらなる痛手になりそうだ。【石田奈津子】

 急激な物価高騰の一方で、年金額が実質的に0・6%目減りするのは、年金額を抑制する「マクロ経済スライド」が適用されるためだ。公的年金制度は、現役世代が払う保険料などで高齢者への給付をまかなう世代間の「仕送り方式」で運営されている。

 現役世代(20~64歳)は2020年の約6900万人から、40年には約1400万人減の計約5500万人になる見通し。一方、高齢者は約3600万人から約3900万人に増え、ピークを迎える。少子高齢化で現役世代が減り、高齢者が増えれば年金財政が悪化の一途をたどる。年金財政を長期的に維持するため、04年の年金改正で導入されたのがマクロ経済スライドだった。