ギミック満載のレッドバロン、歌や演出が光るマッハバロン

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スーパーロボット レッドバロン(左)とマッハバロン(右)。画像は「甦るヒーローライブラリー」第36集、第37集Blu-ray(TCエンタテインメント)

 昭和の特撮には2代、3代にわたって続く“シリーズヒーロー”モノがたくさんあり、「どれが好き? 強い?」と激論を交わしたものです。今回は、「バロン」シリーズの『スーパーロボット レッドバロン』(1973年7月〜74年3月 全39話)と『スーパーロボット マッハバロン』(1974年10月〜75年3月 全26話)について紹介します。

●ボディにしわがないメタルな質感『レッドバロン』
 特撮で巨大ロボットに人が搭乗するという設定は『スーパーロボット レッドバロン』が初めてでした。制作は『アイアンキング』などを手がけた宣弘社です。バロンのスーツは当時200万円をかけて作られたグラスファイバー製で硬度が高く、着ぐるみ特有のシワがほぼ出ないのでリアルなロボット感がありました(※途中からアクションシーンにラバー製も導入)。スタートから2か月ほどで視聴率は2桁に乗ります。

 演出面でも、必殺「バロンパンチ」は画期的でした。操縦者の主人公・健がレバーを引くと合成画面に切り替わり、バロンパンチと書かれた字幕の奥から拳部分が飛んできて文字を突き破るのです。すると画面が切り替わり敵ロボに命中!という斬新な演出でした。

 また、『スーパーロボット レッドバロン』はロボット対戦だけでなく、スパイアクション、カーチェイスにバイクチェイス、後半はカンフーアクションも取り入れるなど、かっこいい要素が盛りだくさん。特に、松原真理隊員のミニスカアクションは男子の目をクギ付けにしました。

 さらに、作品を通して斬新な設定や現代にも通じるメッセージが盛り込まれていました。例えば、レッドバロンはレバーの指紋と声紋の認証でしか反応しないため、健しか動かせません。約50年前の段階で、個人認証システムを導入していたのです。

 敵である鉄面党は人間の体内に爆弾を埋め込み、人間奴隷として働かせています。第1話で、バロンを作った主人公の兄も人間奴隷にされ爆死。第26話ではSSI(科学秘密特捜隊)の大郷キャップと堀隊員が敵を倒すため自爆。他にも、登場人物が家族のために味方を裏切るなど、視聴者に“自分ならどうする?”と問いかけるようなヘビーな展開が度々ありました。

『スーパーロボット レッドバロン』は視聴率も好調で、商品化権許諾80社、関連商品は500点以上を記録。日本テレビの番組の版権収入では新記録(当時の額で1億円)を打ち立てるほどの成功をおさめましたが、スポンサーの日本空気販売の倒産で突然放送終了に。最終回で、実は生きていた健の父・科学者の健太郎が言い放った最後のセリフは未来を予言しているかのようでした。

「私は人間より優れたロボットを作ろうと努力しました。でも無理でした。人間はロボットになることができても、ロボットは人間にはなれないからです」