日本人の新型コロナ患者の重症者や死亡者が、欧米に比べて少ない理由について英紙デーリー・テレグラフは16日、「遺伝性“Xファクター”が日本のコロナ対策成功を解き明かす」との見出しで、理化学研究所が先週発表した研究結果を特集した。 

 同紙は「世界で最も高齢者率の高い国が重症・死亡率の低さで先進7か国中、他を圧倒している」と日本について報じた。そして、新規感染者が日ごとに過去最高を更新し、死亡率も上昇している隣国・韓国とは「はっきり明暗を分けた」と比較した。

 日本は8月、1日の新規感染者が2万5000人以上を記録したが、12月上旬には200人以下にまで減少。新型コロナによる死者も1日1人以下と同紙は説明した。

 高齢者率の高さで脆(ぜい)弱な人口構成のはずの日本で、なぜコロナ感染が急減したのか。多くの科学者がその謎に迫ったが、ついに理研が先週、「日本人に多い特定の免疫タイプが要因の一部だと解明した」とする研究結果について解説した。

 それによると、研究チームは日本人の約6割が持つ「A24」という白血球の型に注目。このタイプの人の血液の細胞を、ウイルスのスパイクたんぱく質の一部であるペプチド「QYI」に投与すると、免疫細胞の一つであるキラーT細胞が活発になって増殖することを発見した。つまり刺激されて増殖したキラーT細胞が、感染細胞を破壊して重症化を防ぐというのだ。

 テレグラフ紙は「A24」型は欧米人では1〜2割程度しか持たないとした上で、理研の藤井真一郎チームリーダーの「“ファクターX”の一つであるといえるだろう」とする談話を伝えた。

 同紙はまた、世界保健機関(WHO)の元上級研究員で東京財団政策研究所の渋谷健司・研究主幹の見解を紹介。渋谷氏はそのような抗体の要因が欧米での高い死亡率に関係している可能性があるとしながらも、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保など、人々の社会行動のほうが生物学的理由より重要だと指摘した。

https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/3869393/