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福山哲郎・前幹事長

 自民党が某民放キー局に“資金”を提供──。もし、こんなニュースが報じられたら、「なぜ、そんなバカなことを」と呆れる人が大半だろう。だが、これと本質的には同じことを、立憲民主党はやっていたのだ。

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 立民が資金を提供していたのは、「Choose Life Project(CLP)」というインターネットメディアだった。

 一般的な知名度は低いかもしれない。だが、国会議員や有識者の討論動画など、政治をメインテーマにした報道姿勢は、一部で注目を集めていた。担当記者が言う。

「公式サイトにアクセスすると、『自由で公正な社会のために─公共のメディアを目指す』という文字が目に入ります。配信動画のタイトルは、『生活保護は権利です』、『「ボトムアップ政治」の再生は可能か?立憲民主党代表選候補者に問う』、『なぜ女性議員は増えなければいけないのか』……という具合です。CLPの報道姿勢は、“リベラル”な傾向だと言っていいでしょう」

 より率直に言えば、CLPと立憲民主党との“親和性”は、多くの人が感じていたに違いない。

 そんなCLPと立憲民主党との“不適切な関係”は、出演経験者の抗議によって発覚するという異例の経緯で発覚した。

「1月5日、電子出版のプラットフォーム『Medium』やTwitterなどを通じ、『Choose Life Projectのあり方に対する抗議』という文書が発表されました。そこには《2020年春から約半年間にわたり大手広告会社や制作会社をはさむ形でCLPに立憲民主党から「番組制作費」として1000万円以上の資金提供があった》ことが独自の調査で判明したと記されていたのです」(同・記者)

CLP共同代表が謝罪
 更に注目を集めたのは、抗議文に名を連ねた人々の顔ぶれだ。

◆元TBSアナウンサーでエッセイストの小島慶子氏
◆ジャーナリストの津田大介氏
◆朝日新聞記者で前新聞労連委員長の南彰氏
◆東京新聞記者の望月衣塑子氏
◆フォトジャーナリストの安田菜津紀氏

「立憲民主党の“応援団”とまでは言いませんが、政治的な主張に共通点が少なくないのは間違いないでしょう。自民党や日本維新の会から攻撃されたのなら、立民の支援者は受け流すこともできると思います。しかし、今回の抗議文に名を連ねた5人からの批判は、思想的に近いものがある分、支援者にも相当な衝撃だったと思います」(同・記者)

 報道機関は早速、この抗議を報じた。文章が発表された5日に、まず共同通信と時事通信が記事を配信した。

 CLPが対応したのは翌6日。共同代表を務める佐治洋氏が「『Choose Life Projectのあり方に対する抗議』へのご説明」との文書を公開した。

 佐治氏はTBSの関連会社に入社し、「報道特集」(土・17:30)などの制作に携わっていたという。

 文書で佐治氏は《資金提供を受けていたことは事実》と抗議文の内容を全面的に認めた。

福山前幹事長との出会い
 CLPは20年7月にクラウドファンディングを開始し、数千万円の寄付を集めたとされている。寄付を集めるまでは活動資金も不安定で、佐治氏は様々な関係者に助力を訴えていた。そんな中、立憲民主党の福山哲郎・前幹事長にも声を掛けたという。

《私は立憲民主党の福山哲郎氏にCLPの話をさせていただく機会を得ました。フェイクニュースやあまりに不公正な差別が横行する状況に対抗するための新しいメディアを作りたいという理念に共感をいただき、広告代理店・制作会社を通じて番組制作のための支援をいただくこととなりました》

 佐治氏が文書で明らかにした金額は1500万円。《特定政党を利するための番組作りはしていません》、《立憲民主党からCLPや番組内容への要求・介入はありませんでした》と反論はしながらも、《本当に申し訳ございませんでした》と謝罪した。

 説明責任を果たした後、速やかに共同代表を辞任する考えを明らかにした。ここで少し脱線してしまうが、CLPの支持者からも呆れられた記述も引用しておく。

《テレビや新聞などのマスメディアと異なり、ネットメディアについてはそれほど厳密な放送倫理の規定が適用されるわけではなく、政党や企業や団体からの資金の提供についてマスメディアであれば抵触するであろう各種法令は適応外であろうという認識でいました》