テレビ朝日の早河洋社長・COO(78)は22日、オンラインによる定例会見で、亀山慶二前社長(63)が経費の私的使用など社長として不適切な行為が確認され、辞任という形になった経緯を説明した。

 早河氏は「10日の発表と重なるかもしれませんが、当社代表取締役社長の辞任という事態になりまして、視聴者、株主の皆さまをはじめ、関係各位の信頼に反する形となりまして、大変申し訳なく、お詫び申し上げます」とまずは騒動を謝罪した。

 さらに「今回の件は放送事業という公益性の事業が高いテレビ局、テレビ朝日の社長には非常に高い倫理観が求められると思っております。ましてや、報道機関のトップなわけで、公正で清廉潔白な言動が必須条件。社長たるもの役職員に模範を示すべき立場にあります」としたうえで「にもかかわらず、社長自らがそうした規範、ルールを逸脱して不適切な行為に及んだということは、テレビ朝日という組織体の職責を果たしたとは言えません」と断罪。「それが職場環境やモラルに悪しき影響を与えたと。よく指摘もされますけど、不適切な行為の大きさとか小ささ、重い軽いではなく、社長という職責の重大さによって判断すべきじゃない」とした。そうしたことを踏まえ、「本人(亀山氏)はその責任の重大さを厳しく受け止めて、潔く辞意を表明したと。それを取締役会がそれを受理したという流れであります」とした。

 亀山氏については現在は社員でもないとし、「取締役の退職金制度は相当前に廃止されている。彼に退職金が払われることはありません」とした。

 同社は11日、今月10日付で亀山氏が辞任したことを発表。亀山氏は社長に就任した2019年6月以降、スポーツイベントへの出席や営業活動のため、会社の経費で国内各地に出張。その中で21年11月、私的な会食やゴルフなどの費用約60万円を業務上の関連があるように装い、社の経費として請求していた。さらに、私的な贈答品の代金など約5万円を経費精算したほか、執務時間中、頻繁に社用車で私的な外出をするなどの行為があったという。

 また、サッカーのW杯や世界水泳の放映権の獲得などを巡って、方向性の違いがあったスポーツ局長との意思疎通が欠如。定期的に開いていたスポーツ局の会合に合理的な理由もなく局長を参加させないなどして、局内の指揮命令系統の混乱を招いたとしている。同社は、スポーツ局の社員らによる不祥事が相次いだため、昨年12月に検証委員会を設置。検証作業の中で、スポーツ局統括でもある亀山氏の経費私的使用などが判明した。

 亀山氏は1982年に全国朝日放送(現テレビ朝日)に入社。世界水泳の放送などを手掛けた。親会社のテレビ朝日ホールディングスも10日に取締役会を開き、亀山氏の取締役辞任の申し出を受理した。

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