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 国際社会の非難などお構いなしに攻撃を続けるプーチン大統領。各国の
リーダーはウクライナ侵攻の前から彼の“異変”について口にしていた。

 侵攻前からたびたび核兵器の行使を匂わせてきたプーチンに対し、バイデン
米大統領も2月26日、ネット番組で「選択肢は第3次世界大戦か代償を
払わせるか」などと発言。が、これを牽制するかのようにプーチンも核抑止
部隊に特別警戒態勢を命じるなど、緊張はなお続く。軍事ジャーナリストの
黒井文太郎氏が言う。

「ロシアは通常戦力では米軍やNATOには太刀打ちできないので、核戦力の
充実に力を注いできました。特に、低出力で“使いやすい”戦術核の弾頭数
では米国を圧倒しています。現状では通常兵器で戦う局面に収まっていますが、
状況を打開するために戦術核に手を出す可能性も否定できません」
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 というのも、

「ロシアは思ったほどの進軍を果たせていません。当初の計画では開戦から
数日以内にキエフを陥落させるつもりだったようですが、想定以上に
ウクライナ軍の抵抗が頑強なのだと思われます。ロシア兵の士気低下に加え、
NATOが事前に提供していた対戦車兵器の効果が絶大に出ているようです」(同)

パーキンソン病疑惑

 また中西輝政・京都大学名誉教授(国際政治学)も、

「プーチンが2月27日、核抑止部隊に対して任務遂行のための高度な警戒態勢に
移行するよう指示したのは、実に危険な脅しです。これを見ても、彼が常軌を
逸した判断をしていると捉えざるを得ません。プーチンはクリミア併合(2014年)の
1年後に回顧して、“当時は核兵器を臨戦態勢に置くことも考えた”と
明かしています。それが今回は侵攻の最中に核に言及しているのだから、
とても恐ろしいことです」

 一方でプーチンは20年、英大衆紙によって「パーキンソン病に
罹っている」と報じられ、ロシア政府がわざわざ報道を否定する一幕も
あったのだが、

「フランスのマクロン大統領は先月、プーチンとの会談後に“別人のよう
だった”と話しており、ドイツのメルケル前首相も退任前、人格の変化
について同じく懸念を漏らしていた。密に接してきた人ほど、プーチンの
異変に気付いていたのでしょう。近現代史を振り返っても、こんな狂気
じみた指導者は稀です」(同)

 体調と人格の“異変”が、核ボタンへと誘わなければよいのだが……。

週刊新潮 2022年3月10日号掲載

特集「『プーチン』の狂気 7つの謎」より
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/03051059/?all=1