9日投開票の韓国大統領選の期日前投票で、新型コロナウイルス感染者らに対する投票管理のずさんさが露呈し、有権者や候補者陣営から批判が出ている。中央選挙管理委員会は「不正は絶対にない」と説明するが、僅差での決着となった場合、敗者が不正を訴える可能性もある。

 期日前投票は4〜5日に実施され、感染者や隔離対象者は5日午後5時以降に外出しての投票が許された。感染者らは専用の台で記入を済ませた後、投票用紙を封筒に入れ、受け取った選挙事務員が代わりに投票箱に投入する方式をとった。韓国メディアによると、投票用紙入りの封筒を紙袋やゴミ袋に入れて管理していたり、投票前に渡された封筒にすでに別人が記入したとみられる投票用紙が入っていたりするケースがあった。立会人が現場にいない場合もあったという。

 韓国では最近、1日に20万人を超える新規感染者が発生。投票日当日の9日にも午後6時〜7時半に感染者らを対象とする投票時間が設けられている。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は6日、今回の混乱について「遺憾に思う」とコメントし、関係者に対策を取るよう求めた。

 候補者陣営も選管の対応を批判している。保守系の最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補(61)陣営は「不十分な選挙管理に対して責任を負わなければならない。誠実な選挙管理は国民に対する義務であることを自覚すべきだ」と批判。進歩系の与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補(57)陣営も抗議し、徹底した調査と国民への報告などを求めた。【ソウル渋江千春】

https://mainichi.jp/articles/20220307/k00/00m/030/151000c