真冬に生足を出している女子高生に対して、誰もが「寒くないの?」と疑問を浮かべます。

彼女たちは、こうした疑問に対して「我慢してる」と答えますが、冬の寒さはおいそれと我慢で乗り越えられるものでしょうか?

サウスフロリダ大学の研究チームは、こうした冬に肌を露出したファッションを楽しむ女性の心理学的な調査を行い論文を発表しました。

これによると、自己対象化(自分を客観的に見る)傾向が強い人ほど、冬の肌の露出に対して寒さを感じにくくなっているとのこと。

どうやら真冬に生足を出している女子高生は単に「我慢している」のではなく寒さそのものを「無視」する能力を獲得していたようです。

研究の詳細は、科学雑誌『British Journal of Social Psychology』に掲載されています。

目次
寒いけどおしゃれのために我慢している
寒いけど我慢できてしまう理由

寒いけどおしゃれのために我慢している
日本の女子高校生は、北海道でも真冬にストッキングも履かずに生足を出している、というのはたびたび話題にのぼります。

「寒くないの?」というのはよく聞かれる疑問で、本人たちにインタビューしている企画も、雑誌やネット記事に多く存在します。

こうした問いに対して、本人たちは「当然寒いけど我慢している」と答えるようです。

https://nazology.net/wp-content/uploads/2022/03/Female-high-school-studentWinter-in-SapporoHokkaido-900x503.jpg
寒くないの?の問いには寒いけど我慢しているという答えがほとんど。
寒くないの?の問いには寒いけど我慢しているという答えがほとんど。 / Credit北海道ファンマガジン,北海道の女子高生はなぜ真冬でも生脚+制服なのか聞いてみた @北海道札幌市 Female high school student(Winter) in Sapporo,Hokkaido 
しかし、こうした答えを聞いても依然疑問は解消されません。

真冬に肌を晒す寒さというものは、果たして単純に我慢するだけで耐えきれるものでしょうか?

もちろんこうした事例は女子高生の制服に限った話ではありません。

真冬でも肌の露出が多いファッションを楽しむ女性は多く存在します。

海外でも、やはり寒い冬に肌を露出した服を着る女性に対して、「寒くないのか」と考えるのは一般的な現象のようです。

そこで今回の研究の筆頭著者であるロクサーヌ・フェリグ(Roxanne N. Felig)氏は、この疑問の背景にある、彼女たちが冬の寒さを我慢できる心理学的なメカニズムを明らかにしようと調査を行いました。

研究者たちが着目していたのは、自己対象化と寒さの感じ方の関連性です。

自己対象化(self-objectification)とは、他人が自分の外見をどのように知覚・評価するかについて強く意識を向けることです。

例えば、子どもの頃は自分が他人にどう見られているかはさほど気にしておらず、自身の立ち振舞や、身だしなみには無頓着です。

しかし、青年期になると、鏡に映る自分や、カメラを向けらたときに、自分の魅力に対する他人からの評価に意識が向くようになります。

人は自己対象化の高まりで人から美しく見られたいということに意識が向くようになる
人は自己対象化の高まりで人から美しく見られたいということに意識が向くようになる / Credit:canva
ただ、自己対象化は単純に人からよく見られたい、というだけの感覚とは少し異なり、自分自身も恋愛対象に含めてしまうような感覚をいいます。

水辺に映った自分の顔に恋をしたナルキッソスという神話がありますが、これは心理学的には自己対象化を表す例の一種です。