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この記事をまとめると
■公共施設や私有地内に放置されている車両を撤去するには面倒な手続きが必要

■成田国際空港では駐車場の管理規程を改定して放置車両の売却、廃棄ができるようになった

■車両を放置した人物が「乗り捨てたもの勝ち」にならないように法改正などの対策が必要

空港などの駐車場に放置されている車両が問題化
 3年ぶりに行動制限のないGWとなった今年、飛行機を利用して旅行や帰省をした人も多かっただろう。その空港などで以前から問題になっているのが放置車両。たとえば、成田空港の駐車場では平成元年度から18年度まで累計189台の放置車両があり、利用料が無料の茨城空港では、一時50台以上の放置車両が確認されている。

 長期間置きっぱなしで迷惑しているのなら、撤去してしまえばいいと思うかもしれないが、一般公道での駐車違反と違って、道路以外の公共施設や私有地内の放置車両は、原則として所有者の許可がないと動かすことができないのだ。

 駐車場の場合、利用者が無許可で長期間クルマを放置したとしても、駐車場の管理者や所有者がそのクルマを勝手に動かしたり処分したりすると、「自力救済の禁止の原則」に抵触し、違法になる。放置車両を撤去するには、まず所有者を確認するのが第一歩。個人情報保護の問題で、ナンバーがわかったとしても簡単に所有者は割り出せないが、盗難や事件性が疑われる場合は、警察で調べてもらえる。

 所有者が割り出せれば、車両の撤去と損害賠償を請求する内容証明郵便を送付。しかし、所有者が移転したりして連絡がつかなかったり、連絡が取れても撤去に応じなかった場合は厄介なことに……。

放置した者勝ちを許さない法整備が必要
 こうした場合、弁護士など法律家に相談し、内容証明郵便の返信がなかった時点で相手が所有権を放棄したとして、所有者のいない動産の所有権を法的に取得する(民法第239条の「無主物先占」)方法がひとつ。
または、(被告不在のまま)裁判所に訴えて、当該車両の撤去・土地明渡と損害賠償を求めて、訴訟を提起し、判決後、さらに裁判所に強制執行の申立をし、裁判所の許可を得て撤去する方法もある。

 いずれも弁護士費用や撤去費用などをクルマの所有者から回収できない可能性が大なので、非常に頭の痛い問題だ。

 ただし、成田国際空港株式会社では、平成19年10月に駐車場の管理規程を改定。

「期限を定めて車両の引取りの催告をしたにもかかわらず、その期限内に引取りがなされないときは、催告をした日から3カ月を経過した後、利用者に通知し又は駐車場において掲示して予告した上で、公正な第三者を立ち会わせて車両の売却、廃棄その他の処分をすることができる」とし、「車両を処分した場合は、駐車料金並びに車両の保管、移動及び処分のために要した費用から処分によって生じる収入があればこれを控除し、不足があるときは利用者に対してその支払いを請求し、残額があるときはこれを利用者に返還するものとする」と定めている。

 そして上記の189台の放置車両のうち、63台は廃棄処分となった……。

 他の空港も放置車両対策に本腰を入れて取り組みはじめ、取り締まりを強化することで、放置車両は減りつつあるが、いずれにせよ空港、そして他の利用者にも迷惑と負担をかけることになるので、法改正を含め、放置した人物が「乗り捨てたもの勝ち」にならないよう、対策していく必要があるだろう。

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