https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2022/07/220722web_pwe02-thumb-554xauto-479634.jpg
イランのテヘランを訪問したプーチン(2022年7月19日) WANA (West Asia News Agency)/Handout via REUTERS

<これまで何人もの各国首脳を「待たせて」きたプーチンだが、カメラの前で50秒もエルドアン大統領を待たされるという屈辱を味わうことに>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がイラン訪問中に、カメラの前で1分近くもひとりで立ったまま、会談相手を待たされるという珍しい一幕があった。

プーチンは7月19日、訪問先のイランでシリア情勢について協議するため、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領と会談。トルコ国営のアナドル通信が撮影した映像には、エルドアンが部屋に入ってくるまで50秒にわたって待たされるプーチンの姿が捉えられていた。

ニュースサイト「ビジネスインサイダー」によれば、プーチンはエルドアンが自分の後について来ていると思って、会談の部屋に入ったのだという。

この2人は2020年にもモスクワで会談を行っているが、その際には今回とは逆に、エルドアンが随行団と共に、部屋の外で2分近くにわたってプーチンを待っていた。そもそもプーチンの「遅刻」は珍しいことではなく、かつてドイツのアンゲラ・メルケル首相やウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領、日本の安倍晋三総理大臣(いずれも在任当時)などと会談した際にも、彼らを何時間も待たせたことで知られている。

2年前とは2人の立場が逆転?
ワシントン・ポスト紙によれば、2020年にエルドアンが待たされた一件については、多くのトルコ国民が怒りの声を上げたという。アラブ首長国連邦のザ・ナショナル紙の上級特派員であるジョイス・カラムは、プーチンがイランで待たされたのは、この一件に対する「ささやかな仕返し」だったと指摘する。

さらにカラムは、「プーチンがエルドアンに待たされ、カメラの前で居心地が悪そうにしていたあの50秒間は、ロシアによるウクライナ侵攻後に起きた大きな変化を物語っている」とツイッターに投稿した。

ロシアがウクライナへの侵攻を開始して以降、トルコは和平交渉の仲介役としての立ち位置を確保しており、これまで複数回にわたって両国や西側諸国の首脳の会談を取りもってきた。

プーチンは今回のイラン訪問でエルドアンと会談を行ったほか、イランの最高指導者のアリ・ハメネイ師とイブラヒム・ライシ大統領とも会談を行った。ウクライナ侵攻以降、ロシアが西側諸国からのさまざまな制裁に直面しているなか、今回の訪問でプーチンは、新たな協力関係の構築を期待していたと報じられている。

ライシによれば、会談では2国間の安全保障面での協力の「大幅な」強化について協議がなされたという。

https://www.newsweekjapan.jp/mobile/stories/world/2022/07/502-1.php