コロナに感染した後、何らかの症状が続く“コロナ後遺症”。咳や頭痛、微熱だけでなく、「脱毛」や「意識もうろう」という報告も。当初は“コロナ後遺症”に「懐疑的だった」という医師は、息子の感染をきっかけに「直視せざるを得ない」と警鐘を鳴らします。

■17人に1人の子どもに後遺症 3歳男児「また髪が抜けちゃった…」
上村彩子アナウンサー:
新型コロナウイルスの後遺症について詳しくみていきます。
アメリカやカナダの研究チームが7月に発表した内容では、新型コロナウイルスに感染した子ども5.8%、約17人に1人にコロナウイルスの後遺症がみられるということなんです。

では、実際に日本で後遺症に悩むお子さんたちの事例を見ていきましょう。

まずは2022年3月に感染した▼3歳の男の子です。
どんな後遺症かといいますと、脱毛なんです。5月の写真と比べてみると、頭皮が見えるほどに髪の毛が抜けてしまっていることがわかります。

男の子の母親に本人の反応について聞いたところ、「保育園で寝具についた髪を『また抜けちゃった』みたいな感じで集めていた」ということなんです。

■14歳の中学生「ウトウトしちゃう」コロナ後遺症は“精神論”?

続いて、2月に感染した▼14歳の中学生の男の子です。
喘息のような咳、微熱、頭痛、腹痛、倦怠感、そして頭に霧がかかったような状態になる“ブレインフォグ”などがあるといいます。

ブレインフォグ症状について聞いてみました。頭が真っ白になり、自転車をこげないこともあるそうです。目は見えているけれど、意識が朦朧として、ウトウトしちゃう感じといいます。

周囲の反応について、母親に聞くと「学校側も後遺症の扱いがわからなかったのだと思うが、あまりにも休みが続いてしまったので『気の持ちようだよ』と“精神論”を言われてしまった」ということなんです。

■「直視せざるを得ない」後遺症に“懐疑的だった”医師にも変化

このように後遺症に対しての理解がなかなか進んでいない状況で、実際、ひなた在宅クリニック山王の田代院長も、当初はコロナウイルスの後遺症に懐疑的だったそうなんです。しかし、変化がありました。

というのも、往診患者の約10%が、療養期間が終了して酸素飽和度が正常に戻った後も、強い倦怠感や咳が続くなど体調不良を訴えているということなんです。

田代院長のご家族、3歳の息子さんも7月31日に新型コロナウイルスに感染し、自宅療養していました。療養期間が終了した後も食欲がない、そして外出を嫌がるということがあるそうなんです。

ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長:
インフルエンザや風邪は、治ってからぐったりするようなことはほとんどない。患者さんや息子の様子を見ると、コロナウイルスの後遺症を直視せざるを得ない。

■“コロナ後遺症”大人と子どもで発症する割合違う?高齢患者の約10%が後遺症に悩む現実も
ホラン千秋キャスター:
後遺症については以前から指摘はあったと思うんですけれども、割合として子どもと大人を比べるとどちらが多い少ない、同じなのか、何か気づかれることはありますか。

田代院長:
割合としては、私は子どもをあまり診ておらず、自分の息子ぐらいなので。うちの息子もいつもとても元気なんですけれども、療養期間を終えた後も活気が落ちて、食欲がなくなって、いつもと全然違う状態が数日続いてしまいまして、やはり子どもにも起こるんだなと。
そして高齢者に目を向けますと、私の経験で言うと10%、これはかなり高い数字だなと思っていまして、それまで元気だった方が寝たきりになってしまうような、そういった状態を見てますので、かなり厳しい現実だなと。後遺症の存在はやっぱり直視せざるを得ないなと感じています。