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▲李仲燮が1956年に制作した「父と2人の息子」(30×41センチ)。美術館の壁に2カ月近く、上下逆さまに掛けられていた。/写真=国立現代美術館李健煕コレクション

 韓国国立現代美術館の「李健煕(イ・ゴンヒ)コレクション特別展-李仲燮(イ・ジュンソプ)」展示に出品された李仲燮の絵画1点が、開幕から2カ月近くも「上下逆さま」に展示されていたことが29日までに確認された。「絵画の上下が違っている」という専門家の指摘が相次いだことから、美術館側は最近、絵画をひっくり返して掛け直した。図録も新たに作り直す予定だ。展示は先月12日から始まった。

 問題の絵は、李仲燮が1954年、紙に油彩で描いた「父と2人の息子」だ。李仲燮が好んで用いていたモチーフ、実在の息子2人(泰現〈テヒョン〉さん、泰成〈テソン〉さん)との幸せなひとときが描写された作品だ。当初、美術館は、画面内のお尻を出したまま座っている子どもを一番上にした状態で展示場の壁に絵画を掛けていた。これだと、子どもは空中浮遊した状態で見降ろす構図になり、父親は首の折れたいささかはっきりしない姿勢で画面の下段に置かれることになる。美術界からは「絵画が上下逆さまに掛かっているように思う」という指摘が起きた。

 国立現代美術館の関係者は29日、本紙の電話取材に対し「寄贈された当時、額の上段に付いていた環の向きの通りに設置し、一緒に提供された図版でもそうなっていた」としながらも「美術界の指摘を受けて李仲燮研究者らと話し合った末、絵画をひっくり返して掛け直した」と語った。美術館側の要請で今回諮問に参加した美術史学者のチェ・ヨルさん(66)は「この絵には画家の署名がなく、どこが上、下なのかも明示されていなかった」としつつ「この場合、過去の展示を原典として設置するのが正しい」と語った。同作は1972年の現代画廊、1979年の美都波画廊の展示に出品された前歴があり、図録が残っている美都波画廊の展示では、絵の中の子どもが画面の下段に位置している。チェさんは「子どものお尻と足の下に濃い絵の具で輪郭を描いていることから察するに、影の効果を出そうとしたようだ」とし「影が下になるように設置するのが適切だと思える」と語った。

 寸劇はさらに続いた。美術館側は、展示内に「出版技術」セクションを別に設け、壁に1950-60年代の雑誌16冊(表紙)を張り出したが、この16枚の表紙絵のうち李仲燮の絵は4枚だけだった。「全ての絵を李仲燮の作品だと誤解してしまう余地が大きい」との指摘が相次いだことから、別に案内板を設置した。しかし、この案内板にも間違いがあった。1956年の「現代文学」の表紙絵を描いた画家「ムン・ハクチン(文学晋)」を「ムン・ハクス(文学洙)」と誤記していたのだ。文学洙は6・25戦争後、北朝鮮で活動した人物。美術館側は「すぐにミスを把握して訂正した」と説明した。しかし「国立美術館の信頼度が大きく失墜した」という評が続出している。

チョン・サンヒョク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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