パチンコ業界が苦境に陥っている――東京商工リサーチによると、8月までのパチンコホールの倒産は20件で、2021年の18件を上回った。9月も4件の破たんが判明しており、14年(32件)以来、8年ぶりに30件台になる可能性があるという。

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写真キャプション(パチンコホールの倒産が急増)

 資金力のあるパチンコホールは、ドル箱を積まない計数機の導入やセルフ式景品カウンターなど、コスト削減を実施している。一方で、資金余裕の乏しいホールは効率化の遅れから人員削減も進まず、コスト増で経営が悪化する負のスパイラルに陥っているという。こうした中、同業界が業況回復の“起爆剤”として大きな期待を寄せるのが、11月に登場する「スマートパチスロ」だ。

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スマートパチスロ(スマスロ特設サイトより引用)

 スマートパチスロとは、メダルなどが電子化された次世代機を指す。現行の規格より射幸性が高く、人気を集める遊技台になる可能性が高いという。

高額な設備投資がハードル
 しかし、導入には大きな課題がある。サーバやユニットなどシステム投資を含め一台当たり約100万円の設備投資が必要になるのだ。東京商工リサーチは「半導体不足もあり台の確保が難しい。さらにシステム工事などの業者も、すでに水面下で奪い合いが起きている」と指摘する。

 また設備投資の高額さ故に、資金力の乏しいホールは、スマートパチスロを導入すること自体が簡単ではない。同社は「年末年始の稼ぎ時に、スマートパチスロを導入したホールとそうでないホールの間で来店客数に大きな違いが出る可能性もある」と分析する。

 スマートパチスロに続き、23年には「スマートパチンコ」の導入も予定されている。次世代を象徴する両者は、苦戦を強いられるパチンコ業界の救世主となるか。

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