岡山県人は「どこどこ」「何々」と疑問詞を繰り返すくせがあると言われます。岡山弁協会の青山融さん(73)=岡山市=に解説してもらいました。

 つい先日のことですが、とある若者のツイッターで次のような投稿を見かけました。「岡山の人は『どこ』とか『なに』とか『だれ』とかを、なぜか2回ずつ繰り返して『どこどこ行くん』とか『なになに買うたん』と言うのが、何回聞いても面白すぎだし、たぶん方言って気づいてないのも面白すぎ」という内容でした。

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岡山県人は疑問詞を繰り返すくせがある
 確かに岡山人はよく「だれだれが、どこどこ行って、なになに買うん?」といった言い方をします。「だれだれが」を「でーでーが」と発音する人も多いようです。共通語なら「誰と誰が、どことどこへ行って、何と何を買うの?」ということになりますが、このように「誰」や「どこ」や「何」の複数形を表わすために2回繰り返すのは、はたして岡山弁なのでしょうか? 

 試みに『デジタル大辞泉』を調べてみますと、こう書いてありました。

●だれだれ【誰誰】《古くは「たれたれ」。不定称の人称代名詞》 ①具体的でなく、漠然と二人以上の人をさす語。だれとだれ。「今日の参加者は誰誰か」 ②なんとかいう人。だれそれ。「どこの誰誰かわからない」

●なになに【何何】《不定称の指示代名詞》不明なものや不確定なものを並べあげるのに用いる。何と何。また、一つ一つの内容を具体的に記す必要のないときに用いる。「遠足には何何を用意したらいいのか」

 国語辞典に「だれだれ」や「なになに」が複数形の意味で載っているということは、これらが方言ではなく標準語だということになります。ただ、この標準語を使う人々が今では全国的に減少し、なぜか岡山県にはたくさん存在するということなのかもしれません。岡山県だけに残存するのかどうかは調べてみないと分かりませんが、かつての標準語が今は方言となってしまった例のひとつなのかもしれません。

 ところで『大辞林』を見てみますと、下記のとおり出ています。

●どこどこ【何処何処】《「どこ」を重ねて強めたもの》 漠然とした場所をさし示すのに用いる。 「場所は-,時間は何時何分と,はっきり決めて下さい」

 辞書の「どこどこ」と岡山弁の「どこどこ」は意味がまったく違いますから、どうやら「どことどこ」を「どこどこ」と言うのは岡山弁ということになりそうです。なお、喜納昌吉さん作詞・作曲の名曲『花』の歌い出し部分「川は流れて どこどこ行くの」の「どこどこ」は、「どこ」の単純な繰り返しと思われ、岡山弁の「どこどこ」の意味ではなさそうですね。うちの子は昔、川の水がドコドコ音を立てて流れて行くんかと思ようた…と言っておりましたけど(笑)。

(まいどなニュース/山陽新聞)

https://maidonanews.jp/article/14780079