防衛費増額のための増税の実施時期について与党税制調査会は15日、議論を続けるとして先送りした。岸田文雄首相の増税方針表明からわずか1週間。自民党内の厳しい反発のなかでとりまとめることを優先した結果、財源確保はあいまいとなり、首相が掲げる抜本的な防衛力強化の実効性は不透明になった。

 15日午後、自民党税調小委員会で防衛増税をめぐる最終攻防が始まった。

 「唐突だ」「増税して誰が来春の統一地方選の責任を取るのか」と増税反対派議員らが声を荒らげるなか、宮沢洋一税調会長が声をあげた。「来年の通常国会に法案は出しません」

 防衛費増額の対象3税(法人税、所得税、たばこ税)については「令和6(2024)年以降の適切な時期」と実施時期をあいまいにし、来年も党内で議論を続けることを強調した。

 反対派議員は「それは無期限延期ということだ」などの独自解釈をして、会合は約2時間半で税調幹部に税制改正大綱のとりまとめを一任し決着した。

 増税は決めるが、いつ始めるか決めない――。そんな「落としどころ」は、この日に示されたものだ。

 動いたのは首相だった。

 …以下有料版です

朝日新聞 2022年12月15日 23時00分
https://www.asahi.com/articles/ASQDH6TT6QDHULFA02C.html?iref=comtop_7_02