12/24(土) 9:06 日刊ゲンダイ
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 まさに“負のレガシー”そのものじゃないか。東京五輪・パラリンピックのメイン会場として新設された国立競技場のことだ。大会後に民営化される予定だったが、まったくメドが立たず、赤字を垂れ流している状態だ。

東京五輪施設は赤字まみれ「負のレガシー」のまま…イベントだけで回収じゃ“焼け石に水”

 国立競技場は、文科省が所管する独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(JSC)が運営・管理を担っている。維持管理費は年間24億円。JSCが負担しているが、昨年度の〈国立競技場等運営収入〉は約9.8億円。競技場の運営収入だけでは到底まかなえず、不足分を国が埋め合わせている状況だ。

 会計検査院が21日に公表した〈東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等に関する会計検査の結果について〉によると、国立競技場が完成した2019年から今年までに国が負担した維持管理費は約56億円に上る。ザッと、年間14億円もの税金がつぎ込まれている計算だ。

■有観客ライブは矢沢永吉50周年記念ライブのみ

 国立競技場は陸上やサッカー、ラグビーなどの競技会場としての収入だけでなく、コンサート収入も見込んでいたが、有観客ライブは今年8月に開催された矢沢永吉50周年記念ライブだけだ。

 このままでは、維持管理費を補填するために、毎年毎年、国が14億円の税金をつぎ込み続けることになる。大会関係者がこう明かす。

「そもそも競技場は収益性が低いため、どうしてもコンサート収入に頼らざるを得ません。国立競技場の新設計画が浮上する前、旧国立競技場の改修案が持ち上がり、収益化が検討されていました。JSCから委託を受けた電通が指定管理者として運営する構想でした。旧国立競技場に屋根をかけ、コンサートを年100回実施するといわれていました。要するに、国立競技場の収益化はコンサート実施が前提だったわけです。ところが、新国立は屋根がないので近隣への音漏れが懸念されますし、観客席と観客席の前後の間隔が狭すぎる、夏は暑く、冬は寒いなどの使い勝手の悪さもあります。そんな環境で年100回ものコンサートを開くのは非現実的。海外のスタジアムのように、ホテルやショッピングモールが併設されているならまだしも、現状では、収益化はほぼ無理でしょう。この先、手を挙げる民間業者が出てくるのか疑問です」

 案の定、民営化は暗礁に乗り上げている。スポーツ庁に進捗を問い合わせると、「民営化のスケジュールを見直しており、(民営化の)時期を明確にお示しすることは困難」(政策課)との回答だった。

 このまま赤字を垂れ流し続けるなら、いっそのこと解体した方がいいのではないか。