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国連総会の議場=米ニューヨークの国連本部で2022年6月9日、隅俊之撮影

 国連総会(193カ国)は23日、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐる緊急特別会合で、ロシア軍の即時撤退を求める決議案を賛成多数で採択した。賛成141カ国、反対7カ国、棄権32カ国だった。侵攻が長期化する中、国連憲章や国際法に違反する行為は許されないと改めて確認した。

 国連総会の決議に法的拘束力はないが、国際社会の政治的な意思を示すものになる。決議案はウクライナが提出し、日本や欧米など50カ国以上が共同提案国に加わった。

 決議は、武力によるいかなる領土の取得も認められないと再確認。ロシア軍の「即時、完全、無条件」の撤退を要求した。領土保全など、国連憲章に合致した形での和平を達成する必要性も盛り込んだ。また、国際法上の犯罪には「適切かつ公正で独立した調査と訴追」が必要だと強調した。

 国連総会は昨年3月以降、ロシアによるウクライナ東部4州の一方的な併合を認めないとする決議(10月)など3本の決議を約140カ国の賛成で採択。一方、ロシアに損害賠償を求める決議(11月)など2本の決議では、新興国や開発途上国などを中心にロシアに配慮する国も多く、賛成は約90カ国にとどまった。

 今回、国家主権や領土保全など国連憲章の原則に改めて焦点を当てたことで、加盟国の3分の2以上の大多数から賛成を得た。

 採択に先立ち、日本の林芳正外相は「我々はみなウクライナの平和を望んでいる。しかし、平和は原則に基づくものでなければならない」と演説。「想像してほしい。もし、ある常任理事国があなたの国を侵略し、領土を奪った後で敵対行為を停止し、平和を呼びかけてきたとしたら」と呼びかけ、「私はこれを不当な平和と呼びたい。このような行為が許されるのであれば、それは侵略者の勝利となってしまう」と訴えた。【ニューヨーク隅俊之】

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